連続テレビ小説「舞いあがれ!」の第9週放送分を小説調でまとめていきます。
目次
【第41話】11月28日(月)放送 帯広課程スタート!
舞(福原遥)は、無事に座学課程を突破し、帯広のフライト課程へ進みました。ある日舞のもとに貴司(赤楚衛二)からのハガキが届きます。
そこには「舞ちゃん元気ですか?僕は今福井の港で働いています。もうちょい色んなとこ行って自分の言葉を探そうって思ってます。舞ちゃん帯広で飛行機乗るんやろ?楽しみやね」と書かれていました。
そして、綺麗な海を写した景色とともに「トビウオが飛ぶとき 他の魚は知る 水の外にも 世界があると」と詩が綴られていました。
舞は食堂でいつものメンバーと共に食事をしていると「自衛隊出身の鬼教官がいる」という話で盛り上がっていました。どうやらその教官は、自衛隊時代に戦闘機のパイロットをしていたらしく「情け容赦なく学生をフェイルにしてしまうそうだ」と中澤(濱正悟)は語ります。
「フェイル」とは能力のない人間は退学させるということで、柏木(目黒蓮)は「教官なら当然のことじゃないか」と言います。その教官の名前は、人呼んで帯広の雷様「サンダー大河内」だということです。
フライト課程では3人で1チームになって、担当教官による指導を受けることになります。そして今日、そのチームと担当教官が発表されました。舞と同じチームなのは水島(佐野弘樹)と柏木です。他にも、倫子(山崎紘菜)、吉田(醍醐虎汰朗)、中澤が同じチームでした。
倫子たち3人を担当するのは、山下教官(板倉チヒロ)です。そして舞たちの担当教官は、噂の人物、大河内教官(吉川晃司)でした。舞は驚いて開いた口が塞がりません。
大河内教官の指導では、明日の初フライトに向けた最終確認が行われることになりました。まず、飛行機を安全に飛ばすための基本となる作業「プロシージャー」が完璧に行えるか、フライトシュミレーターを使用して1人ずつテストします。
このプロシージャーでは、操縦席に乗り込んでから降りるまで、必要な手順を声に出しながらチェックしていきます。その数は192項目と非常に多く、1つでも漏れてはなりません。舞から開始しますが、途中で記憶が飛んでしまい、全て完璧に行えませんでした。
すると大河内教官から「明日までに完璧にしておくように」と命じられます。次に柏木が行います。柏木は完璧にこなし、大河内教官から「悪くはない。空では刻一刻と状況が変化する。シュミレーターとは全く違うぞ」とアドバイスを受けます。
そして続いて行った水島も、舞と同じように途中で忘れてしまい完璧に行うことができませんでした。
その後、学生たちは翌日のフライトに向けて気象データの解析を行います。安全なフライトのために、非常に重要な作業となります。この作業もチームごとに行いますが、舞と水島の説明に対して柏木は「それでは不十分だ。俺が完璧な訓練計画を作る」と意気込みます。
一方、倫子たちのグループでは倫子と中澤の意見が対立しますが、最終的に「女性に譲るとしよう」という理由で中澤が折れます。倫子は、その中澤の言葉に腹を立て、寮に戻ると激怒しながら舞に愚痴ります。
また、倫子たちの担当教官である山下教官は、日本語と英語を混ぜながら話すという変わった特徴があり「癖が強く変な教官だ」と言って、倫子は更にイライラした様子です。
そんな倫子に舞は「プロシージャーの復習をしないか」とお願いしますが、「今日はもう遅いから」という理由で断られてしまします。仕方なく舞は、水島と柏木の部屋へ行き、水島と2人でプロシージャーの再確認を行います。
するとそこに風呂へ行っていた柏木が現れます。柏木は、舞お手製のプロシージャーセットを見るなり「お前は暇なのか?」と冷たい言葉を放ちます。水島は「もっと優しい言い方できないの?」とフォローしますが、何やら女性から携帯の着信が鳴り、部屋を出て行ってしまいます。
残された舞を見た柏木は「水島が戻るまで付き合ってやる」と珍しく優しい言葉をかけてくれます。一通り舞が実践してみると「うん、良いんじゃないか」と柏木からOKが出ます。
舞が「私はまだ不安で…」と弱音をこぼすと、柏木は「明日のフライト、俺は楽しみだけど。だって飛ぶために来たんだろう?」と言います。柏木なりのアドバイスだったのでしょう。
そこに「見事に振られた~」と落ち込んだ様子の水島が戻ってきます。舞は、2人に「明日のフライト、3人で頑張りましょ」と笑顔で声をかけます。明日の初フライト、舞は無事成功するのでしょうか。
【第42話】11月29日(火)放送 ついに初フライトへ
遂に初フライトの日を迎えた舞(福原遥)は、そわそわしながら飛行準備室へ入ります。席に着き、柏木(目黒蓮)や水嶋(佐野弘樹)と最終確認を行っていると、大河内教官(吉川晃司)が来ました。
挨拶を終え着席した一同は、フライト前に自分たちの訓練計画を説明するブリーフィングを始めます。他の学生たちが教官に安全にフライトが行える理由を話す中、舞も大河内教官にしっかりと安全性を根拠に基づき説明しました。
大河内教官は静かかつ微動だにしずに舞の話しをきくと、「わかりました。」と一言返します。何も補助なく説明できた舞は安堵の表情を浮かべるのでした。
そして、訓練用の小型飛行機が並ぶ飛行場へ移動した舞たちは、自分たちが操縦する小型飛行機の確認を始めます。柏木が外部点検に異常が無かったことを報告すると、大河内教官は「岩倉学生はプロシージャ―はできるようになったのか」と尋ねました。
昨晩、柏木・水島とプロシージャ―の確認をした舞は、力強く「はい。」と返事します。すると、大河内教官は「では、岩倉学生から操縦を行う」と告げたのです。
まさかの舞からの操縦に、顔を見合わせる柏木と水島ですが、大河内教官はすぐに「搭乗開始」と命じました。小型飛行機の操縦席に乗り込んだ舞は、次々と操作部の確認を行うと遂にプロペラが回り始めます。
航空学校 運行管理室に異常なく操作できることを伝えると、小型飛行機を動かし始めました。まっすぐ伸びる滑走路を見つめる舞は、緊張の面持ちです。エンジンをマックスパワーまで上げると、大河内教官・柏木・水島を乗せながら、加速させます。
センターラインから大幅にズレる舞に、大河内教官は「先端ズレている」とすかさず指摘しました。なんとか軌道修正する舞は、遂に離陸に成功したのです。離陸したものの、舞の操縦する飛行機はセンターライン上から大きくズレています。
左にズレている機体を右に軌道修正させるため、大河内教官は舞に「右足を踏んで」と命じると、舞は懸命に右足を踏み込みますが足りません。また、右足に意識が向いてしまったため、操縦管を持つ手が動いてしまい機体が揺れます。
見かねた大河内教官は、助手席に付いている操縦管でサポートしました。自身が操縦し安定したことで、大河内教官は「この上昇姿勢を目に焼き付けろ」と舞に促します。
管制官から「JA01TC(舞が操縦する機体)へ 管制圏を出たら報告して下さい」と指令が来ますが、操縦に必死な舞には返事まで意識が回りません。すかさず大河内教官が「聞こえていないのか」と舞に返事を言うよう促すと、慌てて舞は管制圏を出たことを報告しました。
しばらくして機体が安定し水平飛行ができている舞に、大河内教官はこのままキープすることを伝えます。汗だくの舞は額に流れる汗をぬぐいながらも、自分が操縦する機体が自身の手によって空を飛んでいることに、感動しました。
歓喜のあまり涙ぐむ舞ですが、大倉教官の「左に360度旋回」の言葉に緊張した面持ちに戻ります。レフトサイドがクリアなことを確認すると、左にロールインを開始しました。
しかし、うまく操縦することができず、機体はピッチダウン(機首が下がった状態)になってしまいます。焦る舞は懸命にピッチアップし立て直すよう努めますが、機体が激しく揺れたことで、大河内教官がサポートし揺れを止めました。
自分の所為で大きく揺れた機体に放心状態になる舞を他所に、大河内教官は「よし。交代。水島学生」と指令を言い渡すものの、先程機体が大きく揺れたことで酔ってしまった水島は吐いてしまいます。
隣で柏木も吐くのを我慢する中、「柏木学生は?(操縦できるのか)」の問いに、気合で立て直し「やります。」と返しました。柏木の返事に、大河内教官は舞に操縦の交代を言い渡しますが、未だ放心状態の舞の耳には聞こえません。
大きな声で大河内教官が舞をせかしたことで、舞は意識を戻すと、柏木と席を交代しました。柏木はその後順調に操縦していきフライトが終わります。フライトから戻った舞たちは、デブリーフィング(反省会)を行いました。
機体が大きく揺れたことや、自分の操縦で水島が吐いてしまったことなど、様々なことが積み重なった舞は、大河内教官の説明をメモしながらも、完全に自信喪失しています。
夕食の時間になっても食欲のない舞は、サラダ一つしか取りません。席に着こうとすると、他の学生も全員サラダしか取っていませんでした。
その頃、東大阪ではお好み焼き屋「うめづ」に来ている浩太(高橋克典)とめぐみ(永作博美)が舞のフライトの結果を心配しています。
連絡が来ると思っていためぐみでしたが、舞から中々連絡がこないことで、こちらから連絡しようとするものの、雪乃(くわばたりえ)に止められました。
舞は、めぐみからのメールに「うまくいった」と嘘の報告をすると、サラダしか食べ勝ったため共有スペースでカップ麺を食べることにします。すると、そこに同じ考えの吉田(醍醐虎太郎)もカップ麺を持ってきました。
笑い合う舞と吉田は、今日の初フライトを振り返ります。吉田の「緊張したけど、ちょっと楽しかった」の発言に驚く舞ですが、自身も少しだけの間でしたが、感動で涙ぐんだことを思い出しました。
カップ麺を持った柏木は、ドアの向こうで舞と吉田の話を聞いています。そのことに気づかない吉田は舞に宮崎校で助けて切れたことを感謝し「岩倉さんがいてよかった」と言ったのです。二人の良い雰囲気を察知した柏木は、中に入ることなくその場を後にするのでした。
【第43話】11月30日(水)放送 悠人が会社を辞めてしまった
東大阪では、久留美(山下美月)がカフェ「ノーサイド」で舞(福原遥)からのメールを嬉しそうに見ていました。オーナーの津田(たくませいこ)から「彼氏か?」と聞かれると、久留美は「舞です~、フライト訓練毎日大変みたいです」と答えます。
久留美が仕事へ向かおうと店を出るところで、偶然同じタイミングで入店してきた1人の男性とぶつかって、久留美は手に持っていた資料や本を落としてしまいます。「すみません」と顔を見合わせると、男性は舞の兄・悠人(横山裕)でした。
久留美が「今東京で働いてるんでしたっけ?イモリ電機?」と尋ねると、悠人は「そこはもう辞めた」と言うのです。驚いた久留美が「ほな、今何してるんですか?」と聞き返すと、悠人は「投資。こっちの会社リサーチしに来てる」と答えます。
悠人は、久留美が落とした本を見るなり「久留美ちゃん、看護師になったんや」と言います。久留美が「はい、花園総合医療センターの救命救急で働いてます」と答えると、悠人は「はぁ~またきつい仕事選んだな、給料安いんちゃうの?」と失礼なことを言い出します。
更に「俺に金預けてくれたら何倍にでもできんで」と言うのです。久留美は嫌な顔をしながら「結構です」と即答して店を後にします。そして、すぐに舞にメールで「今日舞のお兄ちゃんに会ったで。お兄ちゃん会社辞めたらしいなぁ」と伝えます。
舞は、そんなこと全く知らなかったため、すぐに悠人へ電話をかけます。「会社辞めたってほんま?」と舞が聞くと、悠人は「あぁ、ほんまやけど。言うてへんかったっけ?」としらばっくれた様子です。
悠人は、もちろん浩太(高橋克典)やめぐみ(永作博美)にも言っていないようです。舞が「お兄ちゃん、投資家なるの?」と尋ねると、悠人は「ヘッジファンド。舞にはわからないだろうけど、デカい仕事してんねん。前よりもっと稼いでるから心配せんでええ」と得意げに答えます。
悠人から詳しく話を聞こうと電話した舞ですが、悠人は話を切り替えて「そんなことより、お前はどうやねん?ええ感じに空飛んでんのか?」と聞いてきます。舞は「ちゃんと飛んでんで!」と見栄を張って答えるのでした。
フライト訓練の難易度は日々上がっていき、舞はなんとか必死に付いていこうと、余裕のない状態でした。訓練では基本的な空中操作を徹底的に学びます。更に、操縦と並行してプロシージャー、チェックリストの確認、管制官とのやり取りも求められます。
中でも舞が最も苦しんでいるのは、着陸訓練でした。舞はなかなか着陸が上手く行かず、大河内教官(吉川晃司)からダメ出しを受けてしまいます。
訓練が終わると、いつものようにデブリーフィングを行います。水島(佐野弘樹)は大河内教官から「ATC(管制官)の指示を復唱せず『ラジャー』としか答えなかった。なぜ復唱できないのかを考えろ」と課題を出されます。
続いて、大河内教官は柏木(目黒蓮)に「自身の課題は?」と質問します。柏木は「ターンのバンクコントロールです。自分自身、まだ納得の行く出来ではありません」と答えます。大河内教官は頷きながら「他には?」と問います。
その質問に柏木は「特にないかと」と自信満々に答えます。すると大河内教官が「最も事故を起こすパイロットの特徴は?」と柏木に尋ねます。柏木が「集中力が続かない人間でしょうか」と答えると「違う」と大河内教官は否定します。
そして柏木の目をまっすぐに見ながら「自分を過信する人間だ」と言って「岩倉学生、今日の課題はなんだ?」とすぐに舞へ切り替えます。しかし、柏木は教官からの思わぬ言葉に大きく動揺している様子です。
舞は自身の課題について「着陸が…」と答えます。具体的に話すよう大河内教官から言われますが、舞はなぜ着陸に失敗してしまうのか理解できていませんでした。
そんな舞を見かねた大河内教官は「着陸体制に入った時に、エアスピードが速くパスも高すぎた。滑走路に寄せていく感覚も読めていない。岩倉学生は慎重になりすぎて一つ一つの操作が遅い。速く操作感覚を覚えろ」と細かく指摘します。
フライト訓練は1日1時間、限られた時間の中で技術を習得し、審査を突破しなければなりません。万が一審査に落ちた場合は、退学となってしまいます。現在、中間審査が少しずつ迫っており舞は不安を感じます。
舞は教官から言われたことをずっと気にしていて、チームでの作業中にもボーッとしてしまいました。そんな舞の様子に気付いた柏木は「落ち込む暇があったら打開策を考えろ」と言います。
翌日のフライト訓練でも、舞は着陸が上手く行かず大河内教官から「Go Around(着陸のやり直し)」の指示が出てしまいます。
その後舞は、食堂にていつものメンバーと食事を取りますが、またボーッとしていて話を振られても反応がありません。更に中澤(濱正悟)も食欲がなく十分に食事が取れない様子です。そんな2人を見て、倫子(山崎紘菜)は「あっちもこっちも元気ないわね~」とつぶやきます。
一方で柏木は、舞がずっと落ち込んでいることを気にかけており「岩倉、食べ終わったら部屋に来い。着陸のイメトレ付き合ってやる」と声をかけます。そんな2人の様子を見て、吉田(醍醐虎汰朗)は複雑な表情を浮かべます。
食後、舞は言われた通り柏木の部屋へ行きます。柏木は着陸時をイメージしながら、一生懸命舞の改善点について説明してくれます。舞も真剣に柏木のアドバイスを受け入れ、持ち込んだ自作の操縦レバーで何度もシュミレーションを行うのでした。
【第44話】12月1日(木)放送 柏木の本音
舞(福原遥)は、柏木(目黒蓮)にアドバイスをもらいながら、苦手な着陸のイメージトレーニングを行います。そんな中、隣の部屋では「なんであんたがここにいんのよ!」と倫子(山崎紘菜)の声が響きます。柏木と同室の水島(佐野弘樹)が「2人の時間を邪魔したくない」と入り浸っているのです。
倫子は、同じチームの吉田(醍醐虎汰朗)と中澤(濱正悟)とともに翌日のフライトに向けて準備をするために吉田たちの部屋に来ていました。しかし、中澤は自身の子供が描いた絵を見つめながら心ここにあらずな状態でした。
中澤は、1週間妻と連絡が取れておらず、悩んでいました。一方、柏木の部屋では着陸の様子をイメージしながら舞は右手で自作のレバーを握ります。すると指導に熱が入った柏木が、舞の右手を握りながらレバーを引くタイミングを一生懸命教えます。
舞は、綺麗な着陸のイメージを初めて掴むことができ、嬉しそうな表情を浮かべます。そんな舞を見た柏木も笑顔になります。しかし、柏木はふと我に返ると、舞の手を握っていたことに恥ずかしくなり、照れ隠しで「これほんと良く出来てるな」と舞の作ったレバーを褒めます。
舞は「父が手伝ってくれたんです」と答えつつ「柏木さんのお父さんはパイロットでしたよね?」と初めて柏木の家族について尋ねます。柏木は「あぁ。国際線の機長やってた」と答えます。
舞が「かっこええな~色んな国見てきはったんでしょうね」と感心していると、柏木は「ほとんど家にいなかったけど、帰ってきたら行った国の話をしてくれて、それを聞くのが楽しみだったんだ」と温かい笑顔で話します。
初めて見る柏木の表情に舞はほっこりとした気持ちになりました。翌日、いつものようにフライト訓練のブリーフィングが行われます。そこで、大河内教官(吉川晃司)から、舞たちが決めた訓練空域は他のヘリコプターが試験で使うため、別の空域に変更になったと知らせます。
「この空域でも可能か?」と3人に尋ねる大河内教官ですが、舞と水島は動揺して焦ってしまいます。しかし、柏木は「可能です。その空域の予習もしています。私から操縦します」と一番手に立候補します。
いざフライト訓練になると、柏木は順調にフライトをこなしているように見えましたが、途中で迷子になって自分のいる場所がわからなくなってしまいました。
更に、大河内教官から「柏木学生、このままでは訓練空域を逸脱するぞ。訓練空域を守れ」と指示され、柏木の焦りは増していきます。すると大河内教官が「柏木学生、現在地がわからないのか?それなら正直に言え」と声をかけます。
プライドの高い柏木は自分の過ちを受け入れられず、なかなか言い出せませんでしたが、こればかりは「わかりません」と正直に打ち明けるのでした。
訓練後のデブリーフィングで、大河内教官は柏木に「なぜロストポジションした?急な変更だったからか?」と尋ねます。柏木は「いえ。二度と同じミスはしません」とだけ言います。
そんな柏木に大河内教官は「現在地がわからなくなったのは、思い込みで目標物を間違えたからだ。その上、間違いを指摘されてもそれをすぐに認められなかった。自分を過信する人間はパイロットに向いてない」とハッキリ言い放ちます。
柏木は教官の言葉を根に持ち、考え込んでしまいます。その日の食事も、いつものメンバーとは離れて1人で取っていました。更に、翌日のフライト訓練でも柏木は自分の位置を見失い迷子になってしまいました。
その後、柏木が外の空気を吸いながら1人で考え込んでいると、そこに柏木を心配した舞が現れ「大丈夫ですか?話聞くくらいならできるかなぁと思って」と声をかけます。
しかし柏木は「君に話したところで何が解決するって言うんだ。第一、俺は悩んでない。君らと一緒にしないでくれ」と言って、去っていきます。
翌日、ブリーフィング前に舞は「今日のフライトは中止した方がええと思います」と柏木と水島に相談します。それを聞いた柏木は「ふざけているのか」と強く反論します。
そんな柏木の態度に水島が「まぁまぁ、今日の気象データーを解析したのは舞ちゃんだ。まずは舞ちゃんの意見を聞くべきだろう?」とフォローします。柏木は「それが信用できる判断ならな」と一向に認めようとしません。
そこに大河内教官が現れ、ブリーフィングを開始します。舞は、気象データの解析をしたところ、訓練時間中に十勝エリアにおいて雷雲が発生するという予測ができると説明します。そして「安全性を考慮し、本日のフライトは中止すべきと判断しました」と報告します。
しかし、柏木は「海上に近い空港南側の訓練空域ならフライト可能だと思います。内陸部に雲がずれると考えると訓練は可能だと考えます」とヤケになっている様子です。舞も譲らず「風向きを考えたら今日は無理しないほうが良い」と主張します。
大河内教官は「水島学生は?」と水島に尋ねると、水島も「岩倉学生と同意見です」と答えます。そして、大河内教官は「今日のフライトは中止だ」と結論を出します。
柏木は抗議しようと「待って下さい」と言いますが、大河内教官は「意見がまとめられないようなチームに安全なフライトができるわけがない」とキッパリ言い放ちます。
その後、3人は寮の部屋に集まりますが、そこでも口論になります。そして柏木が「訓練中止したのは本当はサボりたかったんじゃないのか?」と言い出します。しかし、倫子の班も飛ばないという結論に至っており、天候を考えると舞の判断は正しかったと考えることができます。
焦った勢いで思ってもいないことを口走る柏木に、舞は「私は自分の判断が間違っていたとは思いません。私なりにきちんと分析した結果です。安全なフライトが可能かどうかパイロットとして判断しました」と自信を持って主張します。
柏木はそれでも納得がいかず部屋を飛び出そうとしますが、水島が必死に止めて2人はまた喧嘩になります。そして柏木が水島を突き飛ばした勢いで、舞が作った手作りのレバーが壊れてしまいます。3人の雰囲気は最悪なまま、柏木は部屋を出ていってしまうのでした。
【第45話】12月2日(金)放送 迷子になる柏木
柏木(目黒蓮)と水島の喧嘩の後、舞は教官室に行くと、大河内教官(吉川晃司)に何故、柏木が飛行中に迷子になるか尋ねます。
しかし、大河内教官は「君の質問は、本人が聞きに来なければ意味がない」と返しました。柏木はまだ一人に頼れるような状況ではないため、舞は「チームメイトが困っているのに、見過ごせません」と食い下がります。
すると、大河内教官は「自分が向き合うことを恐れているうちは、何も解決できない。それに、全てを1人で抱え込むことが正しいと思っているのであれば、彼はパイロットの本質を理解していない。」と答えるのでした。
その頃、水島は吉田(醍醐虎太郎)と中澤(浜正悟)の部屋に枕を持って訪ねてきます。「俺、ここで寝るから」と言う水島に、中澤は追い返そうとしますが、水嶋は頑なに部屋に帰ろうとしません。
一連の流れを見ていた吉田は「こういう時こそ、一緒に居てあげた方がいいんじゃないかな」と柏木を心配します。しかし、水島は神妙な面持ちで「あの部屋、息苦しいんだよ」と呟くのでした。
一方、柏木は部屋に一人電気もつけず航路の確認をしています。舞と倫子(山崎紘菜)も、部屋で柏木の話をしていました。柏木同様にプライドが高く、一人で抱え込むタイプの倫子は、柏木の気持ちが分かると舞に言います。
「正直、自分で乗り越えるしかない。成功体験を重ねて、自信を取る戻すとか」とアドバイスする倫子に、舞は「自信か」と呟くのでした。
舞は翌朝、柏木の部屋を訪ねます。「もういっぺん、話したくて」と言う舞を柏木は部屋に入れました。部屋に入った舞は「一緒に地図確認の練習しませんか?」と柏木を誘います。
しかし、いつもと同じように柏木は「岩倉と一緒にやったところで、何か変わるとは思えない」と冷たく突き放しました。
やってみないと分からないと諦めない舞に、柏木は「これは俺一人で解決しないといけない問題なんだ。放っといてくれないか」と、大河内教官が言っていた課題のままの言葉を発します。
柏木はパイロットがいかに責任ある仕事で、大勢の人たちの命を預かる仕事だと父の背中を見て理解していました。いつでも責任を一人で背負う父に憧れていたと同時に、父の頼もしい背中が柏木を追い込んでいたのです。
そんな柏木に舞は「けど、私らはまだ訓練している最中で、失敗してもええし、弱い所見せてもええと思うんです。いつか一人で飛べるように、もっと強くなれるように、私らチームになったんやないんですか?」と伝えます。
舞の言葉が突き刺さった柏木は表情を変えると、舞に促されるままどこかへ連れていかれました。着いた先には、吉田、中澤、倫子、そして水島が体育館の床に紐やカラーコーンを使い航空図を作っています。
「これ、何するつもりなんだ」と気まずそうに尋ねる柏木に、舞は「頭の中だけでシュミレーションするより、身体も使った方が具体的にイメージできると思って」と言いました。
柏木は未だみんなの力を借りることに迷っていると、倫子が「柏木がやらないって言うなら、やらないよ。どうする?」と優しく尋ねます。そして舞も「私たち、飛ぶためにここに来たんですよね?」と以前柏木が舞にかけた言葉をそのまま返したのです。
舞の言葉に決心した柏木は、力強く頷きました。やっと仲間を頼ることを始めた柏木は、一同からアドバイスを貰いながら航空図の確認を順調に進めます。
みんなで地図の確認を何日も続けたことで、柏木は実際の飛行訓練でも迷子にならないようになりました。柏木の明らかな変化を、大河内教官も気づいています。
一連の流れを見ていた舞と水島は、一緒になって柏木の成長を喜びました。見事、柏木の自信を取り戻させた舞でしたが、自身の課題である着陸が中々上手くいきません。
大河内教官から「着陸にはまだ早い」の声に、焦りながら再び高度を上げる舞を、後部座席にいる柏木は心配そうに見つめたのです。遂に中間考査(プリソロチェック)まで残り0日となりました。
共有スペースで一緒に勉強する倫子たちは、明日に控えたプリソロチェックについて話しています。そこに、中澤宛の手紙が届いたと同期が訪ねてきました。
差出人は中澤の妻からで、暫く連絡が取れていなかったため、嫌な予感がした中澤は手紙のことを倫子に尋ねられても、はぐらかします。その頃、部屋でくつろぐ水島に柏木が「ATCの練習しておかなくていいか?」と尋ねると、水島はグーサインを出しました。
「余裕そうだな」と呟く柏木に、水島は「まぁ、俺も正直すっげぇ不安よ。だって、落ちたら群馬に戻って、水島ストアの店長だもん。」と不安を口にします。父親と問題があることを悟る柏木は、黙って水島の話を聞きました。
一方、舞は体育館で着陸のイメージトレーニングをしています。そこに柏木が「姿勢を設置点に向けて」といきなり声をかけたことで、舞は驚きますが「はい!」と柏木のアドバイスを受けます。
イメージトレーニングを終えた舞は「上手く着陸出来ましたかね?」と聞くと、柏木は「大丈夫だ」と返しました。
「次は柏木さんが」と練習の準備を始めようとする舞を止めた柏木は、舞にこの前壊してしまったお手製の操縦管を修復し返します。
しっかり治っている操縦管に舞は「ありがとうございます」と嬉しそうに感謝すると、柏木は恥ずかしいのか素直に顔を見ることができず、真横を向いていました。しかし、意を決し顔を見て「岩倉」と声をかけると、舞は不思議そうな顔をします。
「岩倉なら、大丈夫だ。」と明日のプリソロチェックに激励の言葉をかける柏木を見て、舞は嬉しそうに「柏木さんも、絶対大丈夫です。私に言われても、説得力ないやろうけど」と返しました。
舞の言葉に度々助けられてきた柏木は、慌てて「いや、そんなことない。岩倉の言葉には強さがある」と伝えます。普段滅多に人を褒めない柏木からの、誉め言葉に嬉しそうに微笑む舞に、柏木は沈黙を経て「俺、お前のこと。。」と意味深な言葉をつぶやくのでした。