連続テレビ小説「舞いあがれ!」の第7週放送分を小説調でまとめていきます。
目次
【第26話】11月14日(月)放送 それぞれの親子関係
浩太(高橋克典)とめぐみ(永作博美)に「旅客機のパイロットになりたい。航空学校に行ってライセンス取って、航空会社に就職したいと思ってる」と新たな夢を打ち明けた舞(福原遥)に、2人は驚いて何も言葉が出ません。
舞は「私な、小さい頃からずっと思っててん。強い人になりたいて。そやから人力飛行機のパイロットに挑戦した。そんで、空飛んでみたらプレッシャーなんて忘れるくらい楽しかった。このために生まれてきたんちゃうかってくらい楽しかってん」と自分の強い想いを語ります。
そして「お願いします。航空学校に行かせて下さい!」と深く頭を下げる舞に動揺する浩太とめぐみでした。そんな2人に舞は「実は今年受験したいと思ってもう勉強を始めてる。夏に受験して、合格したら大学中退して通いたい」と打ち明けます。
めぐみは、今の大学を中退することに猛反対し「大学はちゃんと卒業して欲しい。あんたずっと飛行機作りたいって言うてきたやん。お父ちゃんも、自分が作った部品を舞が作った飛行機に乗せるんやて楽しみにしてきた」と話します。
更に「親の勝手な期待かもしれないが、舞は小さい頃から手先が器用で工作好きやった。飛行機作りたいという夢聞いた時、舞に向いてる、ええ仕事や思ってずっと応援してきた。せやから大学はちゃんと卒業してほしい。1回人力飛行機で飛んだだけやん」と、めぐみも譲りません。
わかってもらえない舞は感情的になり「1回だけでもわかる。お母ちゃんだってお父ちゃんと出会って大学中退したやろ。その気持ちに間違いなかったんやないの?お母ちゃんが反対なのはわかったけど諦めることはでけへん」と強く言い切り、その場を去ってしまうのでした。
家を飛び出した舞は、バイト先のカフェでアルバイト中の久留美(山下美月)とオーナーの津田(たくませいこ)に先程の出来事を話します。
反対されて落ち込む舞に、久留美は「心配してくれるお母ちゃんがいてええやん。うちのお父ちゃんなんかこっちに心配かけるばっかりやん」と言って慰めます。
そして久留美が「舞のお母ちゃん心配してくれはるんやから家帰り」と舞に言うと、津田が久留美に「あんたもやで。昨日の晩お父ちゃんから電話来て『久留美帰ってけぇへん』って」と伝えます。それを聞いた舞は「帰ろか」と久留美に言って、2人は家に帰ることにします。
舞が家に帰る途中、舞の携帯に悠人(横山裕)から着信があり「親父らに言うたんか。無謀な夢を」と言われます。
舞が「反対されて、お母ちゃんに嫌なこと言うてしもた」と打ち明けると、悠人は「お前がそんなん言うの珍しいな。遅れてきた反抗期、どこまで続くか見ものやな」と言い、電話を切ってしまいます。
一方、久留美が家に帰ると父・佳晴(松尾諭)は新たな職に就くために、求人広告を見ながら電話をしていました。そんな佳晴に久留美は「昨日はごめんな」と素直に謝ります。そして母からの手紙を見ながら複雑な気持ちを募らせます。
翌日、お好み焼き屋「うめづ」では貴司の母・雪乃(くわばたりえ)が「貴司なんで帰ってけぇへんのやろ」と、3日も帰らない貴司を心配します。いても立ってもいられない雪乃はとうとう「会社に電話してみる」と言い出しますが、勝(山口智充)に「あいつは大丈夫や」と止められます。
そんな中、自宅にいる浩太は「舞はもう飛行機作らへんのかなぁ」と寂しそうにつぶやきます。めぐみは「舞があんな強く言い返すなんてびっくりした」と今まで見たことのない舞の姿に新鮮な気持ちを抱きつつも「舞にできるやろか」と不安な気持ちでいっぱいです。
浩太に「パイロットは男社会やから。旅客機の女性機長はまだ日本にはいないはずや」と言われると、めぐみは「舞はそんな、まだ人のいてへん道をがむしゃらに切り拓いていくタイプやあらへん。頑張ってパイロットになれたとしてもその後しんどい思いするんとちゃうのやろか」と話します。
するとそこに、泣きながらパニック状態になった雪乃が現れ「貴司が貴司が…」とひたすら言い続けます。一体貴司の身に何があったのでしょうか。
【第26話】11月15日(火)放送 失踪した貴司
突然、舞(福原遥)の家に訪れた貴司の母・雪乃(くわばたりえ)と父・勝(山口智充)は「貴司がいなくなった」と言います。一度雪乃を落ち着かせて事情を聞くと、貴司(赤楚衛二)は3日前に会社に退職届を出したまま、来ていないということでした。
電話をしても繋がらないため、舞は貴司を探しに行きます。舞は、貴司が良く通っていた古本屋「デラシネ」に行けば貴司がいるかと思い行ってみますが、閉店しており誰の姿もありません。するとそこに、久留美(山下美月)も現れ、2人は店が閉店していたことに驚きます。
そして、舞と久留美は他に貴司が行きそうな所を引き続き探しに行きます。一方で、浩太(高橋克典)とめぐみ(永作博美)がお好み焼き「うめづ」に訪れると、雪乃が貴司の会社に事情を聞きに行っていました。
落胆した表情で帰宅した雪乃は「会社の人、なんも知らんて。前の日まで普通に働いてたのに急に退職届出したんやて」と報告します。
雪乃は心配でいても立ってもいられず「貴司なんかあったんちゃうやろか、警察行ってくるわ」と言いますが、勝が「警察行ったら大事になるわ」と止めます。しかし、雪乃は「3日も帰ってこないんだから十分大事やろ!」と言い返します。
すると勝は「会社やめて俺らと顔合わせるのが辛いだけかもしれん。もうちょっとしたら帰ってくるかもしれない」と貴司の気持ちを汲みつつ、雪乃を落ち着かせようとします。雪乃は、貴司に元気がないことを気付いていましたが、何もしてあげられなかったことに強く後悔します。
そんな中、貴司は海の見える崖のようなところに1人で来ていました。そして、携帯電話を開き複数の着信履歴を確認します。
舞と久留美は探し回った結果見つからず、アルバイト先のカフェ「ノーサイド」を訪れます。そこで、舞は今までの貴司の姿を思い出しながら、舞も雪乃と同じように貴司の異変に気付きつつ、自分のことばかりになって声をかけてあげられなかったことを悔やむのでした。
そして、遂に舞の携帯に貴司から電話がかかってきます。貴司は「舞ちゃん、今五島におる。舞ちゃんからうちのおかんに『ちゃんと生きてるから心配せんで』って言うといてくれへん?」と言います。
舞は「自分で言ったほうがいい」と伝えますが、貴司は「今は話できない。もう限界なんよ、せやから舞ちゃんから伝えて欲しい」と弱音をこぼします。
舞が「ずっと五島におるの?」と聞くと「見てみたかった景色がある。舞ちゃんが絵ハガキくれたんやで」と言って一方的に電話を切ってしまいます。ひとまず舞は雪乃と勝のもとへ行き、貴司が五島にいるということを伝えます。
雪乃は安心しつつも「なんでそんな遠いとこにおるん」とまだ不安は拭えない様子です。そんな雪乃に舞は「貴司くん、1人で考える時間が欲しいんとちゃうかな。せやから知らん人ばっかりの五島に行ったんかなって」と話します。
そして舞は「五島に行ってくる。五島に行って貴司くんが元気なことを確認してくる」と言います。久留美も「私も行く」と言い、雪乃と勝は、舞と久留美に貴司のことを任せることにしました。
その夜、雪乃と勝は岩倉家に訪れ、浩太とめぐみに「舞ちゃんに迷惑かけてすみません」と挨拶をします。めぐみが「舞は迷惑なんて思ってないから大丈夫だ」と伝えると、雪乃は貴司について語りだします。
「貴司な、小さい頃から本好きでな、ほんまは大学で文学の勉強さしてやりたかった。けど、貴司は就職することを選んだ。親の反対押し切って決めたことだから、うちらに弱音吐かなかったんや。しんどいの気が付いてあげれれば良かった」と雪乃は後悔の念を口にするのでした。
翌日、舞は久留美とともに五島に到着します。そして、貴司が電話で『見てみたい景色がある』と言っていた大瀬埼灯台へ向かいます。大瀬埼灯台とは、舞が幼い頃五島にいたとき、貴司に送った絵ハガキに写っていた場所です。
空と海が夕焼けに染まった綺麗な景色が見れるところで、舞はひと目見て「貴司くんに送ろう」と思ったと言います。そして2人が大瀬埼灯台に着くと、そこには貴司の姿がありました。
【第26話】11月16日(水)放送 舞、五島へ
舞(福原遥)と久留美(山下美月)が貴司(赤楚衛二)に会いに五島列島にある大瀬埼灯台に着くと、貴司はスーツ姿で座っていました。貴司はわざわざ五島まで来てくれた2人に、大して驚きもせず「わざわざ来てくれんかっても良かったのに。僕は元気やで」と言うだけでした。
舞が「なんでこの景色が見たかったん?」と尋ねると、貴司は「僕もここ来たら変われるんちゃうかな?と思って」と言います。そんな貴司に久留美が「変わりたかったん?」と聞くと、貴司は淡々とこれまでのことを話し始めます。
「入社して1年経っても営業成績最下位のままでしんどくなってしもてん。他の奴らにできてることが、なんでお前にはでけへんねんってめっちゃ言われるようになって。普通は聞き流せるんやろうけど僕には突き刺さって。痛くてしゃーないねん」
「そんなんでも、僕のほんまの気持ち八木のおっちゃん(又吉直樹)にだけは話せてた。けど、おっちゃんおらんようになってしもて、会社に行く足がすくんでしもて、1歩も動かれへんねん。どないしようって焦ってるうち、なんでかわからんけど、この絵ハガキのこと思い出したんよ。」
「周りに溶け込んで上手いことやろうとして、空っぽになってしもた。僕にはなんにもない」心にぽっかり穴が空いたように哀愁漂う貴司に、舞は「何言ってんの。貴司くんは優しすぎるで」とすかさずフォローします。
そんな言葉にも貴司は「人とぶつかるのが怖いだけや。せやから人に合わせて自分のほんまの気持ち心の奥にしまい込んで、自分が何やりたいんか、何好きなんか、わからんようになってしもた」と答えます。
久留美が「ここ来て何してたん?」と聞くと、貴司は「3日間ここにおってん。最初は白い波ばっか見ててな。そしたら海の色が綺麗やなって気付いて。近くから遠くへどんどん青色が濃くなってくん、見てた」
「海の果てまで見てたらそっから空が始まってた。無限の青やで。空が暗なったら浮き上がるように星が見えてきた。ただの闇だと思ってた空にこんなぎょうさん星あったんやなって。今まで狭い世界しか見えてなかったんやな。来てよかったわ」そう語ります。
文才溢れる貴司の言葉に、舞と久留美は何も言わず空を見上げて、3人はただ静かな時間を過ごすのでした。
その後、3人は祥子(高畑淳子)の操縦する”めぐみ丸”に乗って、舞が暮らしていた場所まで移動します。そして祥子の家に無事着いた舞は、雪乃(くわばたりえ)に電話をし「貴司くん、気持ちの整理が着いたら帰る言うてた」と報告します。
舞が電話を切ると、魚を持った一太(若林元太)が現れ、舞との久しぶりの再会に喜びます。すると、お風呂に入っていた貴司が現れ「こんばんは」と挨拶し、舞は貴司のことを紹介しました。
祥子が一太に「一緒に夕飯食べて帰らんね」と誘うと、一太は貴司の姿に動揺したのか「俺はよか」とそそくさと帰ってしまいます。
その後、祥子と舞、久留美、貴司の4人はともに夕食を食べながら、これまでの出来事について話します。事情を聞いた祥子は「逃げてきたんやな」とストレートに言います。
「そんな言い方しないで」と舞に言われると「逃げてきたのは事実やろ。ちゃんと認めたほうがよか」と祥子らしい真っ直ぐな意見をぶつけます。
すると貴司は「はい、認めたら楽になりました。やっと凍った心が溶けてきた気します。違う自分になりたくて五島に来たのに、今のままでええんやって思えたんです。空にこんなに星があることも知らんかったくせに、世の中のことは全部わかった気でいました」と答えます。
そんな貴司に祥子は笑いながら「面白か幼なじみたいね」と舞に言います。舞は祥子に「貴司くんはね、文学青年なんよ」と教えます。それを聞いた祥子は「変わりもんたいねぇ」と、またハッキリと言うのです。
そして祥子は貴司に「周りに合わせんでよか。自分の言葉知っちょる人間が1番強かけん。変わりもんや変わりもんで、堂々と生きたらよか」と伝えます。貴司は笑顔で「はい!」と答えます。
翌日、3人は海岸に行きます。舞が「貴司くんはこれからどないするん?」と聞くと、貴司は「ほんまの自分のまま生きていける場所がどっかにあるかもしれへん。世界はこんなに広いんやから。その場所探したい」と言います。
続けて貴司は「色んな場所に行ってみたいって思う。そんで、詩(うた)を読む」と話しながら、舞と久留美に短歌を綴ったノートを見せます。そこには「星たちの 光あつめて 見えてきた この道をいく 明日の僕は」と書かれていました。
舞と久留美は「かっこええな」と言いながら、感心します。すると貴司は「まずは、おかんとおとん説得せな」と言います。それを聞いた久留美は「私もお母ちゃんに会ってくる。福岡におんねんて」と決意を固めた様子です。
そして舞も「お母ちゃんには反対されたけど、パイロット諦めへん!」と強い想いを言葉にしました。その頃、東大阪ではめぐみが重い表情で考え込んでいました。そこに浩太が現れ「舞からメール来たわ。五島に残るて。色々考えたいねんて」と伝えます。
めぐみは「舞のこと、どないしたらええのやろ。良くわからへんねん」と浩太に言います。そんなめぐみに浩太は「舞といっぺん話し合ってみたらどうや?迎えに行こうか、五島に」と提案するのでした。
【第26話】11月17日(木)放送 久しぶりの五島
祥子(高畑淳子)のところに一本の電話が鳴り響きます。その頃、舞(福原遥)は洗濯を干しながら、めぐみ(永作博美)の「大学はちゃんと卒業してほしい」と言う言葉を思い出していました。
すると、祥子からめぐみ電話があり、浩太(高橋克典)と五島まで舞を迎えに来ることを告げられます。舞は「お父ちゃんも。。」と神妙な顔つきになり、それを見た祥子は何かを言いかけて止めました。
祥子は作ったジャムを販売店に持っていくと、店員のさくら(長浜ねる)に舞が五島に戻ってきていることを伝えます。さくらは「舞ちゃんも連れて来てほしかった」とこぼしますが、祥子は「舞は一人で考えたいことがあるんや」と答えました。
舞が一人縁側で物思いにふけっていると、豪(哀川翔)がお祝いと鯛を持って会いに来ます。思い当たりのないお祝いに舞は首をかしげると、豪は「一太(若林元太)から聞いたとたい。舞ちゃんが婚約者ば連れてきたとち」と言うのです。
誰のことか分からない舞ですが、一太が貴司(赤楚衛二)のことを婚約者だと勘違いしたと気づくと、「違います!友達です。」と慌てて否定しました。
「まだ学生ですし」と付け加える舞に、豪は「いいや分からんよ。めぐみちゃんも学生の時に浩太さん連れて来たと」とめぐみの話をし始めたのです。「祥子さんに反対されて、そのまま大阪行って、それっきりやったとさ」と思わぬ祥子の反応に舞は驚愕します。
「ばんば反対したんや」と言う舞に、豪は「詳しいことは知らんけど、祥子さんはずっとめぐみちゃんのこと心配しとったちゅうことたい。めぐみちゃんが帰ってきたも仕事に困らんよう、ジャム作りも始めた」と明かしました。
その後、祥子と食事を摂る舞は、めぐみと浩太の結婚に反対したのか尋ねます。舞の質問に暗い表情を見せる祥子に慌てて舞は「ごめん、いきなりこんな話聞いて」と謝りました。
しかし、祥子は穏やかな顔をして当時の話を始めます。1981年、めぐみは20歳の大学在学中に、中退して浩太と結婚し大阪で工場をやると祥子に告げました。突然の浩太とめぐみの結婚に祥子は即答で、「だめだ。苦労するに決まっちょる」と反対します。
「どうして、わっかってくれんと?」と食い下がらないめぐみに、祥子は「世間知らずのお前に、町工場の女将さんなんば、できるわけなか」と厳しい意見を言い放ちました。
めぐみは学校の先生になりたいと言う夢を持っており、その為に大学に通っていたのです。その夢を一時の感情で捨てようとしていることに、祥子は腹を立てていました。
すると、浩太も「僕が傍にいてます。めぐみさんに悲しい思いはさせません」と伝えますが、祥子は「あんたもわからんとね。この子はまだ20歳の学生で、教師になる夢もあったと。めぐみのこと本当に考えるとやったら、諦めんね」とります。
「あんたにめぐみはやれん。めぐみは大学に戻らんか!」と言う祥子に、「もう決めたけん。浩太さんと一緒に大阪で生きていくけん」とめぐみはすでに決心している気持ちを伝えました。
今のめぐみには何を言っても自分の気持ちが伝わらないと感じた祥子は「なら勝手にせい!二度と帰ってこんでよか!」と心にもない言葉をめぐみに投げかけます。「そうする」と涙ぐみながらめぐみは返事を返すと、浩太とそのまま大阪へ旅立って行ったのです。
祥子は舞に、「苦労することは分かっとったけん。黙って送り出すことば、できんかった」と伝えると、舞は今のめぐみの気持ちと祥子の気持ちが同じであることに気づきます。
丁度その頃、めぐみと浩太は五島に着き、舞を迎えにきました。舞は変わらずパイロットになりたい気持ちを明かすと、浩太は「飛行機作りたい気持ちはなくしてもうたんか?」と優しく尋ねます。
すると、舞はかつてのめぐみと同じように「もっとやりたいことが見つかった。」と返しました。
そこでめぐみは「舞がパイロットに向いてると思われへん。パイロットは責任ある仕事や。やけど、男社会の中で、あんたが道を切り開いていくタイプに思われへんねん。苦労するのが目に見えてる」と本音を明かします。
祥子とめぐみの気持ちが同じであることに気づいた上で舞は、パイロットの仕事の厳しさ・責任感の重さも十分覚悟した上で、「大きいものを背負って飛べる人になりたい。」と力強く自分の気持ちを伝えました。
加えて、小さい頃、両親の働く姿を見て、大変そうと感じていましたが、浩太には夢があって、めぐみは浩太を支えていることが分かってからは、苦労しているなんて思ったことはない。大変な仕事をするのなら、自分の本当にしたい仕事で働きたい。と言葉にします。
舞がここまでしっかりと自分の気持ちを言えるようになったことで納得した浩太は静かに頷きました。一方めぐみは無言で考え込んでいましたが、「わかった。舞がそこまで考えてるんやったら、やってみ」と遂に航空学校へ行くことを許したのです。
涙ぐみながら「ありがとう」と伝える舞や、めぐみ・浩太の一連の流れを見ていた祥子は、嬉しそうに微笑みました。
夕飯の支度を手伝いにきためぐみに祥子は「舞ば自分の気持ちをしっかり言える子になったとね。私もあんときのめぐみの話ばちゃんと聞いてやればよかった。すまんかったとね」明かします。
まさかの祥子の言葉にめぐみは言葉を詰まらせました。「めぐみは大阪でちゃんと幸せになったとね」と祥子から、やっと結婚や大阪に出たことを許してもらえためぐみは思わず涙が溢れだします。
自分も親になり、当時の祥子の気持ちも理解できるようになっためぐみは、改めて「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えたのでした。
【第26話】11月18日(金)放送 五島からの帰宅
遂に舞(福原遥)が航空学校の許可を貰えた頃、久留美(山下美月)は実の母である久子(小牧芽美)と再会を果たしていました。久留美は毎年誕生日に久子から届いていたバースデーカードを机に差し出すと、「これ、ありがとう」と伝えます。
カードを見ながら久子は「大事に持っててくれたんやね」と嬉しそうに微笑みますが、久留美の表情は暗いままでした。「なんでお父ちゃんと私を置いてったん?」と尋ねる久留美に、「置いてくつもりなんてなかった」と久子は当時の気持ちを話始めます。
佳晴が怪我でラグビーを続けられなくなり会社を辞めたころ、久子は佳晴が立ち直るまで自分が支えようと決意しました。そして、久子は以前していた看護師の仕事を再び始め懸命に家族を養います。
しかし、佳晴は期待とは反対にどんどん無気力になっていき、やがて久子は「私がいてたら、この人どんどんあかんようになる」と考え始めました。
そして、遂に久子は久留美を連れて実家に帰ると告げると、「せいせいするわ。お前と一緒になれへんかったら、俺もっとましな人間やった」と佳晴は心無い一言を放ったのです。
傷ついた久子は久留美を連れ家を出ようとしますが、久留美は「行けへん!私はお父ちゃんと一緒におる」と佳晴に泣いて抱きつきました。久留美まで置いてくことになってしまった久子は心を痛めながらも、家を出たのです。
久子の話を聞いていた久留美は「ちがう」と話を遮りました。「私が行けへんかったら、お母ちゃん戻ってくると思った」と佳晴を選んだのではなく、家族全員がまた一緒に暮らせるよう家に残る決断をしたと語ります。
「ほんまは戻ってきてほしかった」と言う久留美の言葉に、久子は「何べんも帰ろうと思ったんやけど、一人で生きる道選んでしもた」と嘘偽りない本心を打ち明けました。
久子の言葉に傷つく久留美でしたが、「お母ちゃんの気持ち、ちょっと分かる気がする」と自分も今同じ思いを抱えていることを明かしたのです。
佳晴は久子が出てってからも立ち直ることなく、仕事が続かない日々を送っていることを伝えると、「せやから、私頑張ってんねんで。あの時、お母ちゃんにお父ちゃんとおるって言うてしもたから」と当時の選択に後悔している自分が許せず涙を流しました。
溜まらず久子は、久留美の隣に行き抱きしめます。久子の温もりを久しぶりに感じた久留美は日頃の思いがぽろぽろ溢れだし「たまにしんどいねん。ずっとこのままで、私幸せになれるんかなって」とこぼします。
自分の代わりに久留美が苦労していることを身にしみて感じた久子は謝り続けますが、「私看護学校に通ってんねんで。お母ちゃんと同じ看護師になる」と久留美のまさかの言葉に、さらに抱きしめる力が強くなるのでした。
一方、大阪では失踪していた貴司(赤楚衛二)が実家に戻ってきます。心配し続けた雪乃(くわばたりえ)は、貴司の顔を見た途端、ぶちながら「このドアホウ!こんなことになる前に、何で言わへんかった」と怒りを露わにしますが、勝(山口智充)が止めに入ります。
落ち着いた口調で「まだしんどいんか」と尋ねる勝に「しばらく考えたい。どないして生きていくのか」と貴司は本音を打ち明けました。
普通に幸せになればいいと言う雪乃に「その普通が僕にはしんどいんよ。今まで我慢してきたけど、もう辞めたい。旅しながらその土地で働いて、自分の居場所を探したい」と真っすぐな目で訴えたのです。
まさかの貴司の言葉に動揺する雪乃ですが、勝は「お前がそう言うんやったら、やったらええ。ほんで、答え見つかったら教えてくれ」と貴司の生き方を応援しました。勝は雪乃に「それでいいか?」と尋ねると、雪乃は静かに頷きます。
やっと本音を打ち明け、旅を認めてもらえた貴司は「ありがとう」と目を潤ませます。すると勝は「お前とバッファローズは、いつまでも俺の希望の星やで」と明るく鼓舞するのでした。
五島では舞が大阪へ帰る挨拶をするため、島の人たちの元を訪問しています。さくら(長濱ねる)や伸吾(鈴木浩介)、豪(哀川翔)、一太(若林元太)に惜しまれながらも、別れを告げました。
祥子の家では、浩太が仏壇に手を合わせています。振り返ると祥子がいたことに気が付くと、「お母さん、すみません勝手に」と言うと、改まって向き直したことで祥子も向かいに座りました。
浩太は「めぐみさんを大阪に連れて行ったこと、許してください。」と言うと深々と頭を下げます。「僕はめぐみさんのおかげで、なんとかここまでやってこられたんです。めぐみさんを幸せにするつもりが、僕が幸せにしてもらってました。」と話し始めました。
帰る準備ができためぐみは、浩太の話が聞こえ立ち止まります。「その分、お母さんには寂しい思いをさせてもうて、申し訳ありません」と辛い表情を浮かべながら頭を下げる浩太に、「めぐみはすぐ逃げて帰ってくると、おもっちょった」と祥子が優しく語りかけました。
「けど、あの子は帰ってこんかった。それが寂しくて、嬉しかった。浩太さん、めぐみを幸せにしてくれて、ありがとね」と頭を下げる祥子に、やっと認めてもらった浩太はさらに深く頭を下げます。
一連の会話を見ていためぐみは、陰で涙を流すのでした。めぐみ丸で五島を出た舞と浩太、めぐみは清々しい顔をしていました。そこに祥子が「舞!飛行機!」と教えると、舞は空を見上げ飛んでいる飛行機を見つけます。
五島まで来て、航空学校に行くことが認めてもらえた舞は、涙を流しながら「きっと、飛んだるで!」と決意を空に向かって呟くのでした。