連続テレビ小説「舞いあがれ!」の第6週放送分を小説調でまとめていきます。
目次
【第26話】11月7日(月)放送 舞から浩太への頼み
いよいよテスト飛行の日がやってきました。舞(福原遥)の漕ぐスワン号は予定通り飛ばすことができ、無事テスト飛行は成功となります。由良(吉谷彩子)も「岩倉の操縦上手かった」と褒めてくれましたが、舞は練習よりペダルが重かったと不安な表情を浮かべていました。
そこで、刈谷(高杉真宙)が改良の余地はあると、プロペラの取り付け角度の調整を提案します。プロペラのピッチを変えることで舞の力に合わせることができると言うのです。
しかし玉本(細川岳)が「プロペラ幅の改良には金属加工が必要。その設備がない」と言い、やはり難しいという判断に至ります。すると由良が「岩倉の家、町工場じゃなかった?金属加工の機械無い?」と舞に聞きます。
舞は「ある」と答え、早速父・浩太(高橋克典)に電話し、確認します。浩太は「恐らくできると思うが、見てみないとわからないから一度持ってきて」と舞に伝えます。浩太は久しぶりに舞から頼み事をされ、嬉しそうに工場で働く結城(葵揚)や笠巻(古舘寛治)に報告します。
そんな浩太に結城が「舞ちゃん彼氏連れてきたりして。この間携帯の待ち受け見てニヤついてた」と冗談混じりに言うと、浩太は突然不安になり深刻な面持ちで仕事をしていました。そこに舞が、刈谷、鶴田、玉本とともに工場へ現れます。
そして金属部品の加工について相談するのですが、浩太は「残念だけど、うちの工場では難しい」と言います。すると笠巻が「調整に時間が掛かるができそう、ちょっとやってみよう」と挑戦してくれることになりました。
その後工場の事務所で母・めぐみ(永作博美)は鶴田に「舞ご迷惑かけてませんか?急にパイロットやるって言い出して、ちゃんとやれんのか心配で」と話します。鶴田は「僕も最初は心配していたんですけど、今は舞さんめっちゃ頑張ってます」と伝えます。
「刈谷を連れ戻してくれたのも舞だ」と鶴田が言うと、刈谷が「岩倉は諦めんとです。突き放しても懲りずになんとか話を聞こうとするんで、いつの間にかこっちも話したくないことまで話してる。あいつの粘り強さはなにわバードマンの大事な武器です」と、めぐみに話しました。
工場では、笠巻が早速部品加工に挑みます。そして希望通りに加工が仕上がると、部員たちは感動し「これで行ける」と確信します。浩太は仕事が終わってからも、自宅で笠巻が加工した部品の仕上げ作業を行います。
そこに風呂上がりの舞が訪れ、浩太が舞に仕上がった部品を見せると、舞は「バッチリや。ありがとう」と浩太にお礼を言います。そんな舞にめぐみが「それ、どういう部品なの?」と聞くと、舞は携帯の待ち受け画面に写ったスワン号の画像を見せながらめぐみに説明します。
そんな2人のやりとりを聞いた浩太は「舞が携帯の待ち受けを見てニヤついていた」という結城の言葉を思い出し、舞に思わず「携帯の待ち受け飛行機なんか?」と聞きます。
すると舞は「そうやで。スワン号や!かっこええやろ?」と嬉しそうに浩太に自慢します。それを聞いて一安心した浩太は、ニヤニヤしながら「まだまだ子供やな」とつぶやくのです。
翌朝、舞がいつも通り部室でトレーニングをしていると、部員たちも続々登校してきます。そして、鶴田たちに出来上がった部品を見せました。玉本は「早速付けてみよう」と作業に取り掛かります。
部品は無事取り付けることができ、刈谷は「最高の機体になるぞ。あとはパイロットが最高に仕上がれば」とエアロバイクを漕ぐ舞を見つめながら期待を膨らませます。琵琶湖の空を飛ぶ日がすぐそこまで近づき、舞はラストスパートをかけてトレーニングに励むのでした。
【第27話】11月8日(火)放送 目標達成した舞
記録飛行まであと3日となった舞は、起床後に体重を計ると見事目標体重まで到達していました。いつものごとく舞(福原遥)が部室に1番に到着すると、まもなくして由良(吉谷彩子)が現れます。由良は松葉杖なしで歩いており、松葉杖が取れたことを舞に伝えました。
そして、舞も体重が44kg切ったことを報告すると、由良に「よく頑張ったな」と褒められます。舞が「食事制限もあと3日の我慢です」と言うと、由良は「2日や。本番の前日はしっかり炭水化物摂んねん。体にエネルギー蓄えて飛行中にスタミナが切れへんようにする」と伝えます。
舞はそれを聞いて、何を食べようかワクワクするのです。その後、舞の体力測定を行います。本番と同じように、180ワットで1時間漕げるかどうか挑戦し、見事成功しました。舞は体重も体力もクリアし、記録飛行までの体の準備は整いました。
その日、舞はアルバイトに行くと「焼きそば、スパゲッティ、豚玉…」と何やら1人でブツブツとつぶやいています。そんな舞の姿を見て久留美(山下美月)がオーナーの津田(たくませいこ)に「明日が本番前日やから炭水化物解禁らしいです」と説明します。
すると舞は「トレーニングも休みなんです。お昼前にミーティング行ったらあとは炭水化物が待ってます」と嬉しそうに話します。
翌朝舞が部室に到着すると部員たちが先に来て作業をしています。舞が「私、遅刻しました?」と尋ねると、鶴田(足立英)が「してへん。俺らが早く来ただけ。準備があるからな」と伝えます。部員たちは舞の炭水化物解禁に合わせて、たこ焼きパーティーの準備をしていたのです。
先輩たちは慣れた手付きでたこ焼きを次々と焼いていきます。なにわバードマンは学園祭で毎年たこ焼きの屋台を開いているため、手際の良さはピカイチです。舞は早速出来上がったたこ焼きを1番に頬張り「美味しい」と満面の笑みを浮かべます。
部員全員でたこ焼きを食べながら楽しそうに会話をしていると、鶴田が「イカロスコンテストに出られへんてわかったとき、もう終わりや、みんなを琵琶湖に連れて行かれへんて思った」と話し始めます。
鶴田は「由良が怪我した時も、壊れたスワン号を見た時も、刈谷が出ていった時も、もうあかん。俺はここで引退やって何度も諦めかけた。それがこうやって、みんな揃って明日を迎えられるなんてな」と言いながら、感慨深い表情を見せるのです。
すると由良が「奇跡や。スワン号、壊してしもたのに、また会えた」とつぶやくと、みんなは「僕らは明日奇跡を起こすんだ」と盛り上がります。
そんな部員たちに刈谷が「お前ら、簡単に奇跡って言い過ぎたい。スワン号が飛ぶのは奇跡ではなくて物理法則で説明できる。この俺が設計したけん、玉本がよかプロペラ作ったけん、鶴田がチームをまとめたけん、スワン号は記録を狙える」と語りかけます。
そして「ここにおる全員がそうたい。1人でもかけていたらスワン号はこんなにも高性能じゃなかった。明日、全員が集合してスワン号を飛ばす。それを奇跡って言うんじゃなかとか」と話すと、舞は感動して目に涙を浮かべます。
その夜、舞は祥子(高畑淳子)に電話をかけます。舞の声を聞いた祥子は「まだ起きちょっとか。明日は大事な日だから早く寝らんば」と言います。
舞は「寝られへん。サークルのみんながどんだけ頑張ってきて、どんだけ時間かけて、どんだけ心込めて飛行機作ってきたかって考えたら、その大事な飛行機を私が飛ばすんやで、怖い」と弱音を吐きます。
そんな舞に祥子は「舞なら大丈夫。みんな信じとるとね。じゃけん、舞も自分を信じて飛べば良か。明日ぎばっとぞ!(五島の方言で”頑張れ”の意味)」と元気づけます。舞は祥子の声を聞いて笑顔になり、気持ちを固めます。
翌日、いよいよ記録飛行の日がやってきました。舞がロードバイクで琵琶湖に到着すると、部員たちは既にスワン号の準備に取り掛かっていました。準備が終了し、舞はコックピットで深く深呼吸をしながら気持ちを落ち着かせます。
鶴田が最後に「岩倉大丈夫か」と声をかけると舞はうなずき、ペダルを力強く漕ぎます。そして、スワン号は琵琶湖の上空へと飛び立つのです。
【第28話】11月9日(水)放送 いざ記録飛行!
記録飛行当日の朝、めぐみ(永作博美)はいつもより早起きをし、窓を眺めていました。そこに浩太(高橋克典)が起きてくると「おはよう。早いな」と声をかけます。めぐみは「舞、いよいよやから。無事飛んでほしい。」と親心をこぼしました。
舞の努力を見てきた浩太は、「きっと大丈夫や」と窓の景色を眺めるのです。その頃琵琶湖の会場では、すでにスワン号の飛行目前に迫っていました。
目標の女性パイロットの世界記録である15.44㎞を超えることを胸に、舞は右翼・左翼・胴体・指示出しに異常が無いことを確認すると「ペラ回します!」の掛け声とともに、思いっきりペダルを漕ぎ始めます。
部員たちも同時に走り始め、玉本(細川岳)の「せーの!」の声でスワン号は陸を離れました。舞が懸命に漕ぐスワン号は安定しており、刈谷(高杉真宙)は「岩倉!機体は安定してる!その調子たい!」と声をかけます。
陸に残る部員たちは琵琶湖の上を飛ぶスワン号を見て、「きれぇやね。。」「ほんまきれいたい」と笑顔を向けていました。舞は自分とスワン号が空を飛んでいることに胸を躍らせていると、スワン号が1㎞通過したことを刈谷が知られます。
「1キロ。。まだや!まだ1キロ」と舞は自分自身で鼓舞しますが、刈谷と由良(吉谷彩子)は追い風が吹きコードが下がっていることに気づきました。刈谷は「岩倉、コードが下がっとる。回転数上げて」と指示すると、舞はさらに懸命にペダルを漕ぎます。
由良が刈谷からインカムを貰うと、「岩倉!もう5分経った。その調子や」と励まし、舞は由良の声に気合を入れ直しました。しかし、コックピットの中からは空しか見えず、舞はどこを飛んでいるのか分からない状況です。
ペダルを全力で漕ぎ続けるだけでも大変な上に、コックピットの中は蒸し風呂状態でかなり室温が高い状態なので、舞は熱くて徐々に体力を奪われていきます。「あつい。。」と思わず舞がこぼした頃、スワン号は2㎞を通過しました。
水分補給をしながらも舞はペダルを漕ぎ続けますが、スワン号のコードは下がります。由良は「回転数キープして」とインカメを通して舞に支持しますが、なんと無線が途絶えてしました。
先輩たちの支持が聞こえない状況になった舞は焦り、暑さで足が思うように動かなくなります。苦しい状況に追い込まれた舞でしたが、ふと足元を見ると小さな窓から風が入ってくることに気づきました。
日下部(森田大鼓)と渥美(松尾鯉太郎)と藤谷(山形匠)がコックピットの中が高温多湿なことを考慮し、小さな隙間を窓にして少しでも風が入るよう工夫してくれたのです。
3人の思いやりに気づいた舞は、挫けそうになった気持ちを立て直し、ペダルの回転数を上げます。すると下がっていたコードは見る見るうちに上昇し、刈谷と由良は「岩倉―!最高や!」「いけー!」と歓喜の声を挙げました。
舞は懸命にペダルを漕ぎながら、由良の悔しい思いや、部員全員で琵琶湖にスワン号を飛ばす喜び、熱い思いをぶつけ合いながらスワン号を製作した日々を思い返し、「飛んで!」と汗だくになりながら放ちます。
「飛んで!みんなの夢背負ってんねん。こんなとこで終わられへん」と呟きますが、足はすでに限界を迎えていました。舞は「終わられへんのに」と悔しい声を上げると最後の力を振り絞りペダルを全力で漕ぎます。
刈谷・由良を始めとした部員たちが大声で「岩倉―!」と応援する中、スワン号は琵琶湖に落ちました。刈谷・由良に救助してもらった舞は申し訳ない気持ちで顔を上げられません。
「先輩、すみません。私記録。。」と泣く舞に、由良は「岩倉は10分飛んだ。3.5㎞も飛んだんや。よお頑張った」と抱擁します。また、刈谷も「謝らんと。お前のおかげで琵琶湖に来られた。」と声をかけました。
舞は「みんなのスワン号もっと飛ばしたかったです」と悔しい気持ちをこぼすと、刈谷は「俺は今日のために、ここまで生きてきたって思えたっちゃ。このフライトのために全てを懸けられたことを誇りに思う」と熱い言葉を残します。
「スワン号をお前に任せて、よかった!」の言葉に舞は涙を流しました。陸に戻った舞を部員たちは歓喜の声を上げ迎えてくれます。
「よおやった!」「最高やった」「ありがとう」の声に舞は笑顔を浮かべ、「ありがとうございます。一緒に空飛んでもらて、本当にありがとうございました」と深々とお辞儀をし、感謝の気持ちを伝えました。
「ええよそんなん」と照れる部員たちは全員で肩を組み「なにわ―!バ―ドマン!」と円陣すると、舞を胴上げします。舞からのメールで無事に飛びきったことを知った浩太とめぐみは「よかったな!」と事務所で笑顔を浮かべました。
夕焼けに照らされる琵琶湖を眺めながら、由良は舞に「空飛ぶって、どんなかんじやった?」と尋ねます。舞は「幸せでした。空飛んでるとき、このために生まれてきたんちゃうかって思ったんです。」と答えました。
舞の答えに由良は嬉しそうな顔を浮かべながらも「来年は、私が飛ぶわ!」と宣戦布告すると、舞「わたしも負けません」と笑顔で返し、ライバルになったことで微笑み合います。
先に行く由良に残された舞は、空を見上げ「飛んだんや。この空。」と呟きます。様々な問題に直面しながらも、互いに支え合い無事スワン号を飛ばすことを達成したなにわバードマンの熱い夏が終わりました。
【第29話】11月10日(木)放送 新生なにわバードマン
記録飛行を終えた舞(福原遥)は、秋のパイロット選考会に向けてトレーニングを再開していました。なにわバードマンは3回生が引退し、新代表には佐伯(トラウデン都仁)が就きました。
そして佐伯が来年度のパイロットを発表する日が来ます。立候補したのは、舞と由良(吉谷彩子)、藤谷(山形匠)です。体力テストの結果を踏まえて選ばれたのは、由良でした。舞は1番に拍手をして「おめでとうございます」と由良を祝福します。
早速トレーニングを開始する由良に舞が水を差し入れると、由良から「この間の体力測定また記録伸びてたやろ。この2ヶ月相当トレーニング頑張ってたんちゃう?」と言われます。
舞は「もっぺん飛びたくて。琵琶湖の空を飛んだときの気持ち忘れられへんのです。けど由良先輩がパイロットになるんやったら諦めがつきます」と答えますが、記録飛行の光景を思い出す度にパイロットになる思いが拭いきれず、心ここにあらずな状態が続きます。
舞は幼い頃から飛行機を作ることに憧れていましたが、一度パイロットを体験して以来、空を飛ぶことに憧れるようになっていたのです。
ある日大学で舞が『パイロットという職業』という本を読んでいると、トレーニング中の由良が現れます。由良は「そんなに空飛びたいんや」と舞に声をかけます。
舞が「はい」と頷くと、由良は「私も航空学校行ってジェット機のパイロットになるのが夢やってん。けど受けられへんかった」と本来の自分の夢を話します。航空学校を受験するためには、身長が158cm以上ないと受けられません。
そして由良は、舞の身長が159cmなので受験することが可能だと告げます。その日の夜、舞は航空学校のパンフレットを持ってめぐみ(永作博美)のところへ行きますが、どこか後ろめたさを感じ、話すことができませんでした。
翌日、舞はアルバイトへ向かうとオーナーに「シフトを増やして欲しい」とお願いします。そんな中、店に久留美(山下美月)の父・佳晴(松尾諭)が現れます。佳晴はコーヒーを一杯飲むと、帰り際に久留美にお金を渡し「誕生日やろ。ケーキでも食い」と伝えます。
この日、久留美は誕生日でした。そして差出人に「松下久子」と書かれた一通の手紙を一緒に渡します。久留美の母です。毎年、久留美の誕生日が来ると手紙を送ってくるのです。
一方で、帰宅した舞はパイロットを目指して本格的に勉強を始めていました。勉強の合間に窓を開けて空を見ていると、ちょうど隣に住む貴司(赤楚衛二)も窓を開けて「舞ちゃん!」と声をかけます。貴司はちょうど帰宅したところでした。
共に空を見上げていると貴司のもとに会社の先輩から電話があり、貴司は家の中に戻っていきました。舞が再びめぐみに航空学校の受験について話そうとリビングに降りると、めぐみは悠人(横山裕)に電話をかけていました。しかし、相変わらず悠人は出ないようです。
怒っためぐみは、舞に「悠人に電話しておいて!年末ぐらい帰っておいでって」と伝えます。少々機嫌の悪いめぐみに、舞はまた話すタイミングを逃してしまいました。その後、舞は悠人に電話をします。悠人は舞からの電話には出るのです。
そして「なんでお母ちゃんの電話出ぇへんねん」と問いかけます。悠人は「出んでもわかる。どうせ年末ぐらい帰っておいでやろ。忙しいねん」と答えます。そんな悠人に舞は「パイロットになりたい」と伝えます。
クリスマスの日、舞は久留美と貴司に声をかけバイト先のカフェ「ノーサイド」に集まります。そして「旅客機のパイロットになりたい。今パイロットの養成学校を目指している」と2人に打ち明けます。
久留美に早く親に話すよう言われた舞は「どう言ったら良いかわからない」と不安を漏らします。すると貴司が「舞ちゃん、ほんまの自分を見つけたんやな。羨ましいわ」となんだか物寂しげな顔でつぶやきます。
そして、また会社の上司から1本の電話が鳴り、貴司は「呼び出しや」と言って去っていきます。店を後にして電話に出た貴司は、上司から酷く怒られていました。貴司はいつも疲れた顔をして追い込まれているようですが、幼なじみである2人にも悩みを打ち明けられない様子です。
【第30話】11月11日(金)放送 突然の決断
新年を迎えた株式会社IWAKURAは、新しい仕事が次々と舞い込むほど業績は順調で、訪問してきたイトヤマインダストリーの社員からも、IWAKURAさんは対応が早いし良い工場だと好評だと伝えられます。
自宅に帰った浩太(高橋克典)とめぐみ(永作博美)が一息ついていると、舞が下へ降りてきました。浩太が「勉強は捗ってるか?」と尋ねると、舞は少し気まずそうな顔をしながらも「うん」と返します。
3人でお茶を飲みながら、めぐみと浩太は色々な新しい仕事が来るようになって、ありがたいと話し始めました。浩太は、「この調子なら、舞が作った飛行機にうちの部品が乗せれるかもやで」と発言します。
浩太の発言に、未だパイロットになりたいことを言えずにいる舞は、胸を痛めるのでした。場面は変わり、なにわバードマンの部員たちはスワン号の記録飛行の映像を見返し、新しい人力飛行機で活かせる改善点を探っています。
佐伯(トラウデン都仁)が「岩倉、尾翼の操縦やけど」と話しかけますが、舞は記録飛行の時の空を飛んだ感覚を思い返し、一人決意し立ち上がります。
「お願いがあります。暫く休ませてもらえませんか」と舞の突然の申し立てに、部員たちは「それは困る。アイリス号はどないすんねん」と反対しました。
舞はパイロットになるための勉強とは言えず「勉強とバイトが忙しくて」と言いますが、西浦(永沼伊久也)は「みんなそうやん。それでも時間やりくりして飛行機つくってんねん」と猛反対します。
謝る舞に西浦が認めない中、由良が「最後まで話しきこ」と促しました。すると舞は意を決して「私、旅客機のパイロットになりたいんです。航空学校に行きたいと思ってます。そのための、勉強と学費貯めるためのバイトを頑張りたいんです。」と言い放ちました。
驚く部員たちは、航空学校の勉強や女性がパイロットになることの難しさを知っているため、動揺を隠せません。しかし、由良は舞の熱意を感じ「いいやん!私は応援する」と舞の活動休止を認めてくれたのです。
すると、部員たちは「今までパイロットになった先輩はおらん。もし万が一慣れたらおもろいな」と前向きな発言を交わします。そして、佐伯も「貴重な戦力を失うのは痛いけど、うちの優秀な部員が何とかしてくれるやろ」と舞の夢を応援してくれたのです。
温かい部員たちの言葉に、舞は深々と頭を下げるのでした。その頃、貴司(赤楚衛司)は古本屋「デラシネ」で真っ白なメモ帳と共にうなだれていました。会社に居場所を失った貴司は、唯一の詩も書けなくなってしまったのです。
そんな中、店主の八木(又吉)は筆で何かを書いています。貴司は八木が何を書いているのか見にいくと、和紙には「閉店セール 全品半額」の文字がありました。貴司が店を閉めるのか尋ねると、八木は「せや。閉める。呼ばれたからや」と意味深な言葉を放ちます。
「朝になると、何かに呼ばれて睡蓮の花が開く。春になると、何かに呼ばれて白鳥が北に飛んでいく。そういう得体の知れんでっかいもんに呼ばれたんや」と閉店の理由を説明しました。納得いかない貴司は「今、この店までなくなったら、僕ごうしたらええんか」と声を震わせて訴えます。
詩も書けなくなって苦しむ貴司に八木は優しい顔で、「短歌にしてみ。いま書きたいことがギューギュー詰めになって出てこられへんねん」とアドバイスし、「嬉しさは 忘れんために 悲しさは 忘れるために 短歌にしてみ」と温かい短歌を貴司に送りました。
季節は流れ3月になると、カフェ「ノーサイド」に鼻歌を歌いながら久留美(山下美月)が訪ねてきます。舞は未だに浩太と恵にパイロットの夢を話せずにいますが、バイトと勉強に明け暮れていました。
舞は突然の久留美の本門に驚くと、久留美は二年目の学費免除が決まったことを報告します。舞はとたんに笑顔になり、自分のことのように喜ぶと二人は抱き合いました。
久留美はご機嫌で家に帰ると、真っ暗の部屋の中に佳晴(松尾論)がいることに気づきます。「電気もつけんと、どないしたん。仕事は?」と尋ねると、佳晴は「辞めた。」とまたもや仕事が続かなかったことを告げました。
佳晴は仕事中に非常階段で足を滑らせ、捻挫してしまったようです。「元々ガードマン向いてなかったんや。辞めてせいせいしたわ」と強がりますが、久留美は家賃や生活費の心配をします。
「何とかなるやろ」と軽く考える佳晴に、いつも尻拭いをする久留美は怒りをぶつけました。すると、佳晴は「お前もあいつ(久留美の実の母)と一緒に行ったらよかったんや。結婚でもなんでもすればいい」と心ない一言を放ちます。
久留美は涙ぐみながら「こんなお父ちゃんおったら結婚なんか出来へん」と叫ぶと、持っていた学費免除の通知の封筒を佳晴に投げつけ雨の中家を飛び出しました。久留美が岩倉家を訪ねると、出迎えためぐみはびしょ濡れの久留美を見て驚きます。
夜遅くに突然訪ねてきたことを謝る久留美に、めぐみは早く家の中に上ることを促しました。温かいお風呂に入り、温かい甘酒を作ってもらった久留美は、「ええなぁ舞は。お母ちゃん優しいし、お父ちゃん頼りになるし」と呟きます。
佳晴の言葉を気にしていた久留美は「子供の頃に出て行った母親は、それっきり帰ってこん。1年に1回バースデーカードが届くだけ。舞なら書かれてる電話番号に電話する?」と尋ねました。難しい問題に簡単に答えられない舞は「わからへん」と返します。
寝る前に久留美は「お父ちゃんにひどいこと言ってしもた。」と佳晴とケンカしたことを後悔しました。続けて「けど、言わんと我慢してたら、なんも変わらへんもんな」と呟きます。
久留美の言葉に、舞はパイロットになりたい夢を浩太とめぐみに打ち明ける決意をしました。
今日中に片付けておきたい仕事を話合っている浩太とめぐみは、舞の大事な話を明日にしてくれないかと聞きますが、舞の熱意を目の当たりにし、話を利く体制を整えます。そして、遂に舞は「私な、旅客機のパイロットになりたいねん」と打ち明けるのでした。