連続テレビ小説「舞いあがれ!」の第11週放送分を小説調でまとめていきます。
目次
【第51話】12月12日(月)放送 訓練に復帰する舞
柏木(目黒蓮)から担当教官を変えてもらおうと提案された舞(福原遥)は、柏木に「少し考えさせてもらえませんか」と返答します。しかし柏木は「もう時間がない。早く教官を変えて訓練に集中しないと、最終審査に間に合わないかもしれない」と譲りません。
そんな柏木に舞は「もしかしたら私、大河内教官(吉川晃司)のこと勘違いしてたんかなって。もうちょっと大河内教官のもとで頑張りたいです」と伝えますが、柏木は「大河内教官は学生に興味がない。水島(佐野弘樹)のときだって…」と言い、納得していない様子です。
話がまとまらないまま訓練の時間が来てしまい、柏木は舞に「この話はもう一度ちゃんとしよう」と言います。
熱を出して訓練を休んでいた舞にために、倫子(山崎紘菜)や中澤(濱正悟)、吉田(醍醐虎汰朗)が休んでいた間の訓練内容をまとめたノートを貸してくれました。そして倫子に「結局教官は変えてもらわないのね?」と尋ねられた舞は「はい」と頷きます。
舞が翌日の訓練区域について3人に話すと、舞のことが気になっている吉田が親切に参考資料を提供してくれ「頑張ってね」と言いながら、3人はその場を後にしました。
まもなくして柏木が現れ「山下教官(板倉チヒロ)と話してきた。教官の変更を申請して結論がでるまでに、2週間かかるって。俺は変えたほうがいいと思ってる。岩倉もそう思ったらすぐ言ってくれ」と舞に話します。舞はただ「はい」と一言返します。
先日大河内教官と話した舞は、大河内教官が本当は学生思いで、自分が担当した学生についてしっかり観察しているということに気づき始めていました。しかし、舞以外の学生は大河内教官のそんな姿を知らないため、舞はその事実をみんなに上手く伝えられずもどかしい気持ちでいたのです。
その晩、自室で翌日の予習をしていた舞のもとに、久留美(山下美月)から電話がかかってきました。久留美は「柏木さんとどうなったの?もう返事したん?」と気になっていたことを訪ねます。
舞が「まだ返事ができていない」と答えると、久留美は溜め息をつきながら「エリート男子何日も待たせて、あんたええ女やなぁ」とからかいます。そして久留美は「けど、あんまり待たせたら柏木さんかわいそうやで」と真面目にアドバイスします。
しかし舞は話を逸らせて「久留美は?なんかあったん?」と久留美の近況について聞こうとします。すると久留美は「ちょっと気になる人はおるけど…同じ職場の人やねんけど、いつも差し入れしてくれんねん」と八神先生(中川大輔)のことを想像しながら嬉しそうに答えます。
翌日、舞は2回目のソロフライトに向けてブリーフィングを行っていました。舞が「本日のフライトは実施できると判断します」と伝えると、大河内教官は少々難しい表情を浮かべながらも「わかった」と答えます。
そして舞はいよいよ2回目のフライトをスタートさせます。しかし、外は少しずつ風が強まっていました。そして管制室で舞のフライトを見守っていた大河内教官に、管制官から「風向きが変わりました。現在120度9ノット。13ノット以上で着陸の制限値を超えます」と伝えられます。
すると大河内教官はすぐに舞へ無線で「訓練を中止して空港に戻れ」と指示します。舞は「わかりました。すぐに空港へ戻ります」と答え、引き返そうとしますが風が13ノットを超え、着陸制限値に到達してしまいました。
すぐに大河内教官は舞に上空で待機するよう指示を出します。しかし、風はどんどん強まっていく一方です。そして、大河内教官が現在の状況から「帯広空港への着陸は諦めよ。釧路空港へ変更だ」と舞に伝えます。
舞は驚いて「1人で釧路空港ですか?」と聞き返しますが、大河内教官は「そうだ」と一言答えるのみです。舞は意を決して釧路空港へ向かうことにします。初めての体験に戸惑う舞のもとに、大河内教官から無線が入りました。「岩倉学生聞こえるか。右を見ろ」
舞が言われた通り右を見ると、大河内教官の乗った飛行機が隣を飛んでいました。そして「釧路まで私が誘導する」と大河内教官から無線が入ります。舞は不安でパニックになっていましたが、大河内教官の姿を見て安堵するのでした。
【第52話】12月13日(火)放送 大河内教官のサポートで着陸に成功する舞
強風の影響で、急遽帯広空港ではなく釧路空港へ着陸することになった舞(福原遥)は、大河内教官(吉川晃司)に誘導してもらいながら並走飛行し、一路釧路空港へ向かいました。しかし、釧路空港も普段より風が強く、舞は着陸への不安を抱えます。
そんな中、大河内教官から無線が入り「岩倉学生、自信を持て。落ち着いてやればできる」と励まされます。そして、舞はこれまでの練習や特訓で教えてもらった内容を思い出し、滑走路のセンターラインにピッタリと着陸することができました。
大河内教官から「よくやった。これまでで1番の着陸だった」と無線が入り、ホッとした舞の目から涙が溢れ出ます。釧路空港で一度飛行機から降り、舞は大河内教官に「正直すごく怖かったです。やるべきことはわかっていても、いざとなったら手震えてしまって」と真情を吐露します。
大河内教官は「不測の事態は必ず起きる。それでも冷静でいなければならないのがパイロットだ」と話しますが、舞は「冷静になれたのは教官に声をかけてもらったおかげです」と自分1人で冷静になれたわけではないことを正直に伝えます。
すると「やり遂げたのは君自信だ」と大河内教官は舞の飛行について評価します。そして舞は、以前大河内教官が言っていた「努力をしてもパイロットになれない学生はいる。私がここにいるのはそういう学生を落とすためでもあるんだ」という発言が本心だったのかと尋ねます。
大河内教官は「本心だ。パイロットとしての適正がない学生をいち早く見極め、落とすことも私の仕事だ。水島(佐野弘樹)にはその適性が無かった。だがパイロットになれなくても彼の人生が終わったわけではない。大切なのは彼がこれからどう生きるかだ。彼はまた別の道を歩んでいける」と答えます。
そして「岩倉学生、審査や訓練ばかりに囚われて大事なことを見失うな。なぜパイロットになりたいか思い出したか?目指すべきものはそこにあるはずだ」と舞に告げるのでした。
その後、帯広空港へ戻った舞のもとに柏木(目黒蓮)が駆けつけ、思わず舞のことを抱き締めて「心配した」とこぼします。舞は周りの目を気にして、すぐに柏木の手をほどきますが、非常に嬉しそうな表情です。そして柏木の部屋で、釧路空港で大河内教官から言われたことを話します。
舞は「大河内教官、水島さんのことちゃんと見てくれてはったんやと思います。学生に興味無いとか、そんなことないです。私、大河内教官のもとで最後まで訓練頑張りたいです」と自信を持って柏木に伝えます。それを聞いた柏木は、やっと納得して頷きながら笑みを浮かべます。
すると、舞のことを心配していた倫子(山崎紘菜)や吉田(醍醐虎汰朗)、中澤(濱正悟)が部屋に入ってきて、舞の顔を見ながら無事帰ってこれたことを喜びます。そして、最終審査に向けて5人で気合いのエンジンを組みます。
それから舞たちの訓練は順調に進み、いよいよ最終審査が近づいてきました。そんな中、訓練中の中澤の様子がおかしく、同じチームの倫子と吉田が話を聞きます。そこへ舞と柏木も合流すると、中澤は「実は俺、離婚することにしたんだ。今日、離婚届にサインをした」と皆に伝えます。
十分に納得がいかないまま離婚を決意してしまった中澤に、倫子が「あんた、ちゃんと奥さんと話してないんでしょ?」と聞きます。中澤が「電話に出てくれないんだ」と言うと、倫子は「それでも手紙書くとか、会いに行くとか、いくらでも方法はあるでしょ」と厳しく言い返します。
しかし中澤は「電話に出ないってことは会いたくないってことだろう?それで無理に会いに行くのも…違うだろう」と弱気な発言を繰り返します。そんな中澤に倫子は「情けない。自分の中で勝手に自己完結して、そういうところが…愛想尽かされる原因でしょ」と言い捨て去っていきます。
残された4人は何も言えず、気まずい空気の中立ち尽くすしかありませんでした。最終審査まで残り1週間を切っている中、新たな問題が発生し一同はどのように解決していくのでしょうか。
【第53話】12月14日(水)放送 中澤の離婚届
最終審査まであと5日となった頃、舞(福原遥)と倫子(山崎紘菜)は、自室で先日の中澤(濱正悟)の離婚の件について話していました。倫子の様子に違和感を感じた舞は、「中澤さんに、何か言いたいことあるんとちゃいます?」と中澤に会いに行くことを提案します。
舞と倫子が中澤に会いに部屋に向かうと、離婚届を入れた封筒を持つ中澤が部屋から出てきます。中澤の封筒を見た倫子は「それ(離婚届)出しに行くんだ」と言うものの、中澤は黙ったままです。舞が外の雨を理由にやんわり足止めすると、倫子は続けて「それまで、ちょっと話そうよ」と告げました。
中澤・吉田(醍醐虎汰朗)の部屋に入ると、部屋の空気は重苦しさを増します。沈黙を破ったのは中澤で、「話そうったって、俺の心は決まっている」と離婚の決意が固いと言い放ちました。
美幸(中澤の奥さん)がどうしたら本心を教えてくれるのか考えろと促す倫子ですが、中澤は美幸が電話にも出ない状況から、「向こうに話合う気がないなら、どうしようもないだろ」と離婚は美幸のせいだと責任を擦り付けます。
しかし、離婚届を出したところで、スッキリしないと言う倫子の正論に、中澤は遂に本音が出ました。「集中できないよ。できるわけないだろ。だって、愛しているんだから」と悲痛な叫びを言う中澤は、立ち上がり離婚届の入った封筒をぐしゃぐしゃに丸めて投げ捨てたのです。
いつも冷静な中澤がここまで取り乱す姿を見たことがない舞と吉田は、慌てて中澤を落ち着かせます。「なんで俺が離婚しなければいけないんだ。パイロットになって、家族養って。一体、何が不満なんだよ」とこぼす中澤に、倫子は「中澤は美幸さんの夢、聞いたことあるの?」と尋ねました。
いきなりの質問に疑問に思う中澤ですが、美幸の夢など聞いたことがないため、憶測で「俺の夢を支えることとか?」と返します。中澤の返答を聞いた倫子は「本気で言ってるの?」と言うと中澤は「矢野は俺に何が言いたいんだよ」と逆上しました。
すると、倫子は「中澤が夢を追いかけられるのは、男だからだよ。子供を持つ母親が、突然パイロットになるなんて言い出したら誰が応援してくれる?きっと、止められる。女性に機長だって、日本にはまだいないじゃない。中澤はその意味が全然分かってない」とずっと抱えていた思うを伝えます。
それに対し、「別に俺が決めたわけじゃない。男が稼いで、女が家庭を守る。そう決めたのは世の中だろ」と反論した中澤に、我慢できなくなった倫子は飲んでいたお茶をぶっかけました。
「だから私は変えたいの。変えるためにここに来たの!男も女も関係ない!」と涙を流しながら訴えます。続けて、「美幸さんもやりたいことがあるかもしれない。中澤はこれまでそういう話をきいてこなかったんじゃない?」と中澤に足りていない点を指摘しました。
倫子の言葉が刺さった中澤は、黙ったままです。部屋を出た倫子は言い過ぎたと後悔しますが、舞は「倫子さんがあんなに強い想いでこの学校に入ったなんて、知らなかったです。かっこよかった」と讃えました。
部屋に残っている吉田に離婚届を握りしめたまま座り込む中澤は「大事な時期に迷惑変えてすまん」と吉田に謝ります。すると、吉田は「迷惑なんて全然思ってないですよ。きっと矢野(倫子)もそう思ってます」と優しく返しました。
吉田の優しさに再び感極まる中澤は「レターセット貸してくれないか?手紙書いてみる」と心を改めたようです。倫子たちのおかげで手紙を出した中澤は、美幸から返事が届き、二人で話し合うことが決まりました。
その頃、舞が最終審査に向けての勉強をしていると、浪速大学時代の鶴田(足立英)から電話がかかってきたのです。久しぶりの鶴田の声に舞が喜ぶ中、鶴田は「テレビ観たか?ニコラスコンテスト」と人力飛行機のコンテストの話を持ち出しました。
今年のなにわバードマンも大活躍だったようで話が盛り上がる中、鶴田は「ちょっと待ってな」と言うと、同席していた刈谷(高杉真宙)に電話を代わります。「岩倉、元気にやっとるねや」と久しぶりの刈谷の声に、舞はさらに笑顔になりました。
「テレビ観とったら、岩倉が飛んだスワン号を思い出したとよ。岩倉があの時、みんなを連れて飛んだことを」と熱い言葉をかけます。
「あの時の岩倉はスワン号を飛ばすんだって、しつこく俺を連れ戻しに来て。それで、俺は設計図の書き直し、玉本(細川岳)たちも毎晩徹夜。鶴田は号泣たい」と面白おかしくも、懐かしい話をする刈谷に、舞はスワン号で空を飛んだと時の感動を思い出していました。
舞が今、パイロットを目指し飛び続けていることを知った刈谷は「それならスワン号の奇跡はまだ続いている。今でも岩倉は俺たちのパイロットたい。なにわバードマンの魂、忘れちゃいかんよ」と初心を思い出させるには十分な言葉をかけてくれたのです。
刈谷の言葉が深く胸に刻みこまれた舞は、電話を切った後なにわバードマンのみんなで撮った写真を眺めながら、大河内教官(吉川晃司)の「何故パイロットになりたいか、思い出したか」の言葉を思い浮かべます。写真を眺めながらボーっとする舞に、倫子が「何見てるの?」と尋ねました。
嬉しそうにスワン号の話をする舞は「あの時、みんなの期待背負って、それにちゃんと答えたくて必死でした。けど空飛んでみたら、プレッシャーなんて忘れるくらい楽しくて。みんなで一緒に飛んでるから、どこまでも飛んでいけるんやなぁって、嬉しなったんです」と当時の気持ちを振り返ります。
「今も、倫子さんがおって、柏木さんがおって、吉田くんも、中澤さんも、水島さんもおって、みんなで一緒に飛んでるから、私は強くなれてるんやなって思えるんです。」と倫子に話したことで、大事な気持ちを思い出す舞は、倫子に改めて、最終審査一緒に頑張りましょ!と意気込むのでした。
【第54話】12月15日(木)放送 最終審査
舞(福原遥)たちは遂に、帯広課程 最終審査の日を迎えました。最終審査は3日間に渡り開催され、1日目は口述審査、2日目は空中操作と離着陸の技術を測る局地飛行、3日目は野外航法と言う内容です。
一連の流れを山下教官(板倉チヒロ)から聞く学生たちは、気合でみなぎっています。1日目の口述審査、2日目のエアワーク離着陸の審査を、舞を始めとした柏木(目黒蓮)、倫子(山崎紘菜)、吉田(醍醐虎汰朗)、中澤(濱正悟)は、これまでの厳しい訓練の甲斐あり、着々とこなしていきました。
そして、いよいよ3日目の野外航法の審査を迎えます。舞たちは、帯広空港から嵐山・清水・足寄・北見・女満別空港のルートを飛行することになりました。舞と柏木が機体へ乗り込もうとしていると、大河内教官(吉川晃司)がいることに気づきます。
立ち止まった舞と柏木に、大河内教官は深く頷き「君たちならできる」と無言のメッセージを送ると、舞と柏木も同じように頷きました。柏木が順調に野外航法を終えると、舞の番になります。
舞も順調に操縦を進めていくと、初めて余裕ができたのか、自分がパイロットになった先の姿を思い浮かべたのです。舞の操縦する旅客機には、浩太(高橋克典)、めぐみ(永作博美)、幼い頃の舞(浅田芭路)、悠人(海老塚幸穏)が乗っています。
操縦する機体が雲の上に到達すると、「ご搭乗のみなさま、機長の岩倉でございます。当機は只今追い風に乗って、時速1,100㎞で飛行中です。」とアナウンスしました。アナウンスを聞いためぐみが「機長さん女の人なんや」と言うと、浩太も「めずらしいな」と驚いています。
舞は続けて「これは38万㎞離れた月へ、たった15日で辿り着けるほどのスピードです。目的地は快晴。それでは快適な空の旅をお楽しみください」と完璧なアナウンスを披露していました。
思い浮かべたイメージが素敵すぎて、最終審査を受ける実際の舞も笑顔になります。初めて、笑顔でフライトを終えた舞は、審査後すぐに大河内教官に報告しました。
「最終審査時、将来自分が操縦する飛行機を思い浮かべました。乗客のみなさんには、それぞれ行きたい場所があって、会いたい人がいて、見たい景色があって、そんなこと考えていたら、飛ぶのが楽しくなってきました」とにこやかな顔で話します。
続けて、「私は誰かの喜ぶ顔が好きです。それが私の目指すべきものなのかもしれません。私は私の操縦する飛行機に乗るお客さんに安心して喜んでもらえるパイロットになります」と大河内教官の「何故パイロットになりたいか、思い出したか」の答え伝えました。
そして、柏木も「俺は父と同じ、国際線のパイロットになります。ここで出会った仲間たちと同じように、信頼し合える乗務員と世界中を飛び回って父の背中を追います」と宣言します。舞も柏木も帯広空港に来た当初とは見違えるほど成長したことで、大河内教官も喜びを感じていました。
「プロになれば君たちはまた苦しむかもしれない。だが、答えは一つではない。私もそう思いながら日々飛んでいる。岩倉学生・柏木学生、君たちが操縦する旅客機に乗れることを楽しみにしている」と大河内教官から熱い言葉をかけられた舞たちは、涙を浮かばせながら「はい!」と返します。
「最後までご指導ありがとうございました」と頭を下げる舞と柏木に、大河内教官も「ご苦労様でした」と頭を下げると、厳しい帯広課程が修了しました。最終審査に通過し、5ヶ月間の帯広課程を修了させた舞たちは、寮へ戻り打ち上げをしています。
次は宮崎に戻り、より高度なフライト訓練を受けるのです。厳しい帯広課程を通過した学生たちは和気あいあいと打ち上げを楽しむ中、柏木は舞を呼び出します。二人になると柏木は「明日空いているか?」と舞をデートに誘ったのです。
翌朝、舞は倫子にメイクをしてもらいながら、準備をしてました。「柏木のためにメイクしたんじゃないからね。これは舞のため。自信もって自分の気持ち伝えておいで」と倫子らしい言葉をかけられると、舞は「はい」と頷いたのです。
待ち合わせ場所では柏木がそわそわしながら、舞を待っていました。すると舞が現れますが、いつもと違いスカートを履き女性らしい雰囲気に包まれていたため、柏木は驚きます。「いつもと雰囲気違うな」としどろもどろの柏木に、舞が「変ですかね」と苦笑いすると、柏木は慌てて「似合ってる」と返しました。
ぎこちない中、帯広をデートする舞と柏木は徐々にデートを楽しみ始め、笑顔で一日を過ごします。夕焼けに照らされたラベンダー畑に着いた舞と柏木は、「空から見ても綺麗なんだろうな」とパイロットらしい話をしていました。
訓練期間にみんなに支えてもらったことを感謝する舞に、柏木は「岩倉がパイロットは孤独なものと言う固定概念を変えてくれた」と伝えます。続けて「同期として尊敬してるし、これからも一緒に飛びたいと思っている。俺は岩倉が好きだ」と笑顔で改めて想いを告げました。
すると、これまで中々答えを返せなかった舞ですが、緊張しながらも「私も柏木さんが好きです。これからも一緒に空飛びたいです」と伝えることができたのです。やっと思いが通じ合った二人は照れるのを隠すため夕日を眺めますが、柏木が意を決して舞の手を握ると、微笑み手を繋ぎながら二人だけの時間を楽しむのでした。
【第55話】12月16日(金)放送 東大阪へ帰省
無事に帯広での最終審査を終えた舞(福原遥)は、久しぶりの東大阪の実家に帰省することになりました。岩倉家では浩太(高橋克典)が舞の帰りを今か今かと待ちわびており、夕飯をまたもやお好み焼き屋うめづで食べることに愚痴をこぼします。
そんな浩太をめぐみ(永作博美)は「一緒に来るお友達が、ほんまのお好み焼き食べたいんやって」となだめました。すると、丁度舞の「ただいま~」の声が玄関から聞こえてきたことで、しかめっ面だった浩太の表情は一変し、いつものニヤニヤ顔になります。
久しぶりの舞の姿に、浩太とめぐみは嬉しそうです。しかし、舞が連れ来たお友達の顔を見た浩太は、また顔が豹変します。その友達と言うのは先日交際に発展したばかりの柏木(目黒蓮)だったのです。初めて見る浩太の険しい顔に舞は焦りながらも「航空学校の同期の柏木さん」と紹介します。
柏木も続けて「初めまして。柏木弘明です」と笑顔で挨拶すると、めぐみは笑顔で挨拶を返す中、浩太は厳しい顔を保ち「舞の父です」と一言返しました。
柏木が「どうも初めまして。お父様」と言うと、浩太は固まります。場の空気が重苦しい中、柏木は舞と交際していることを伝えようとしますが、只ならぬ空気を察した舞は、「友達!めっちゃ仲いい友達」と柏木の言葉を止めました。
浩太とめぐみは違和感を感じるものの、変に追及することなく苦笑いを見せます。その後、お好み焼き屋うめづに来た舞は柏木に小声で交際の挨拶を中断させたことと、友達と紹介したことを謝りました。別卓で浩太と共に酒を酌み交わすと笠巻(古舘寛治)と結城(葵揚)は、落ち込み元気のない浩太を慰めます。
そんな中、雪乃(くわばたりえ)と勝(山口智充)は、舞の彼氏と思われる人物に興味津々です。本場のお好み焼きを前に手を叩き喜ぶ柏木に気を良くした雪乃と勝は、「マヨネーズでハート描いたろか」と提案すると、浩太は壁を叩き抗議します。
最悪の雰囲気を打破するべく、めぐみは「みんなあんま気にしんといて。今日は舞の帰省祝いなんやから」と盛り上げました。舞も浩太に乾杯の音頭を促すと浩太は「今日は舞の前途を祝した集まりや。そんな祝いの場に、お友達が来てくれて感謝!乾杯」と変な空気をまた作ります。
酔いも回った浩太は仕事の話を楽しそうにする中、めぐみが中断し柏木に舞の学校の様子を聞きました。すると柏木は舞が学校で頑張っていることをしっかりと伝えるのですが、舞が「柏木さんにも寮の部屋で勉強教えてもらった」と言うと、浩太は「寮の部屋?」と怖い顔つきになります。
「談話室!」と慌てて訂正する舞と柏木ですが、めぐみに舞の頑張りを伝えているうちに柏木は「難しい課題にも懸命に取り掛かる舞さんの姿に惹かれて」とポロッとこぼしてしましました。その場が凍り付き、浩太だけではなくめぐみにも緊張が走ります。
もう誤魔化しが利かないと判断した柏木は意を決して、遠い席の浩太の方を向くと「お父様。お母様。僕は舞さんのことが好きです。真剣にお付き合いしたいと思っています。今日はそのご挨拶がしたくて、伺いました。」と緊張しながらも、しっかりと伝えました。
頭を下げる柏木に、浩太はフラフラの足でビール瓶を持ち近づきます。男性陣総動員となり浩太を押さえつけますが、浩太は柏木にコップを渡すと「正直に、はっきり言うてくれたこと。立派やった」と讃えたのです。この後、東京へ戻ろうとしていた柏木ですが、「遅い時間にあかん」とめぐみの一言で、岩倉家に泊まることになりました。
舞の部屋に初めて入る柏木は、物珍しそうに辺りを見渡します。舞が先程の交際の挨拶に感謝をし、和やかな雰囲気に包まれる中、隣から物音が聞こえました。突然立ち上がり舞が窓を開けると、貴司(赤楚衛二)が現れます。久しぶりの再会に喜ぶ二人ですが、貴司は柏木の存在に気づき挨拶をします。
柏木は険しい顔をしながらも「舞さんの彼氏の柏木です」と食い気味に挨拶を返しました。舞が貴司に「トビウオの短歌に助けられた」と話すと、貴司は「ええ短歌書けたら、また送るわ」と嬉しそうです。
そんな二人の会話に我慢できなくなった柏木は「貴司さん。舞のことはこれから僕が支えていきます。安心して下さい」と短歌を送ることを遠回しにやめろと牽制を張ります。不穏な空気に舞は一人ニヤニヤと面白おかしそうにしていますが、浩太が柏木を呼び、飲み治そうと誘ったことにより、渋々柏木は浩太に連れられていきました。
一連の流れを黙ってみていた貴司は「いい彼氏なや。ほなおやすみ」とすぐに窓を閉めてしまいます。舞は不思議に思いながらも、「おやすみ」と返し窓を閉めました。
一悶着あった晩から2ヶ月後の2007年12月、株式会社IWAKURAの新しい工場が稼働し始めました。自動車向け部品の製造のため、最新の機械を導入し、人員も大幅に増員した株式会社IWAKURAは、立派な会社になっています。しっかりとした頼もしい社員たちに、浩太も嬉しそうです。
一方、舞も宮崎での訓練を順調に進まると、2008年9月遂に就職活動を始めます。緊張の中、「岩倉さん」と面接官に名前を呼ばれた舞は、「はい」と返事をし立ち上がるのでした。