【第82話】1月30日(月)放送
本日貸切のうめづでは、悠人(横山裕)が一人 お好み焼きを楽しんでいました。「これから貸切やろ」と外の張り紙を気にする悠人に、雪乃(くばたりえ)は「そうやねん。めっちゃめでたいことあってん」と返します。
悠人は、雪乃の発言に興味なさげに「へぇ」と返すとタイミング良く、舞(福原遥)と貴司(赤楚衛二)、めぐみ(永作博美)が三人揃って、うめづに来店しました。
舞とめぐみは悠人の姿に驚くと、毎度のごとく「うちにも寄りなさい」と叱ります。そして、悠人も「これ食べたら、東京帰る」とお馴染みの返事をするのです。険悪な親子に見かねた梅津夫婦は、クラッカーを鳴らし、声を合わせて「貴司、長山短歌賞おめでとう!」と祝福を始めました。
一気に盛り上がる場に、貴司は照れた様子で「大袈裟やねん」と頭を掻きます。そんな貴司に勝は「何を言うてんねん。今日は歌人 梅津貴司の門出を祝う会やないか!」と大盛り上がりです。一連の流れを見ていた貴司は、「団体って、いつものメンバーやん」と渋い顔でツッコムみます。
一同は席に着くと、乾杯をし貴司を祝う会が始まりました。雪乃が「舞ちゃんもめぐみさんもほんまありがとうな。今日は貴司のお祝い来てくれて。悠人くんもな。」と岩倉家に感謝します。
舞は改めて「貴司くんの歌が立派な賞に選ばれて、ほんまに嬉しいです」と梅津夫婦に告げると、雪乃は「せやな。なんちゅうたって、短歌界の芥川賞やからね」と有頂天です。
すると、貴司は雪乃に長山短歌賞のことを知っているのか尋ねると、勝は「お母ちゃんな、貴司が短歌作り始めたころから、短歌の雑誌ぎょうさん買い込んできて、よお勉強してたんやで」と告げ口しました。また、雪乃も「それはあんたもやがな」と笑います。
そんな二人のやり取りに貴司は静かにうつむくと、前を向き直し「オトン、オカン、ありがとう。こんな賞もらえたのも、好き勝手してた僕をずっと見守ってくれたからです」と頭を下げました。貴司の想いに、雪乃はたまらず泣き出します。
和やかなな雰囲気の中、勝は「せやけど、舞ちゃんも凄いらしいな。飛行機部品のプロジェクトリーダーやて」と話を切り返しました。
「来週は強度の試験があるんです」と報告する舞に、貴司も「頑張ってな」と激励の言葉を掛けます。意気込む舞の話しを聞いているのかいないのか、悠人は淡々とお好み焼きを食べ続けました。
そんな中、久留実(山本美月)が遅れて登場し「ごめんな。仕事全然終わらんかって。貴司くんおめでとう!」と貴司を祝い、続けて「ちょっと今日は、みんなに紹介したい人がおって」と誰かを中へ呼びます。
すると、恋人の八神(中川大輔)が中に入り自己紹介と久留実との交際を報告しました。めぐみ・雪乃を始めとした一同は久留実の彼氏に盛り上がりです。一緒になって笑う舞ですが久留実の薬指にある指輪の存在に気づくと、「久留実、それって」と尋ねます。
舞の問いに久留実は恥ずかしそうに、「婚約しました」と婚約指輪を見せたのです。ドッと盛り上がる一同は、さらにお祝いムードになりました。
席に着くなり質問攻めの舞に、八神も堂々と惚気た返しをし、久留実はたじたじになり止めに入ります。また、八神は「何より、しんどさも吹き飛ぶ笑顔に惹かれて、そしたら僕は久留実ちゃんを愛してました」と熱烈な思いを語りました。
聞き慣れない言葉に舞も「胸いっぱいや」と目を見開いて驚きます。幸せが溢れる空間の中で、悠人の携帯が鳴り響くと、ちっと舌打ちして電話を切り、「ごちそうさん」と声を掛け数枚の一万円札を雪乃に渡しました。
驚きの金額に驚く雪乃は「ちょ、こんなにも」と返そうとしますが、悠人は「ええから取っといて。貴司くんの受賞と、久留実ちゃんの婚約祝い。おめでとう。お幸せに。」と言い残し、うめづを出ていきました。
一連の悠人の行動にめぐみの表情は曇ったままの中、八神は舞と貴司に話を切り出します。「舞さん、貴司さん、今度Wデートしませんか?」と突拍子もない誘いをしました。声を揃えて驚く舞と貴司は恋人ではないと訂正します。誤解に気づいた八神は続いて「それなら舞さん、若いドクター紹介しますよ」と提案しました。
八神の言葉に、雪乃もめぐみも乗り気な中、貴司はいつもとは違う強めの口調で野次を遮ります。二人の様子を心配そうに見ていた久留実は、見かねて八神に話題を変えるよう促すと場を収めてくれました。その場を切り抜け、安心する舞の隣で、貴司は静かに考え込むのです。
楽しい週末を終えると、遂に航空機ボルトの品質試験の日を迎えました。舞、笠巻(古舘寛治)、結城(葵楊)の3人は緊張した面持ちで、社用車から出ると立派な朝霧工業を見上げます。緊張する舞と結城に、笠巻は「引け目に感じることあらへん。俺らやって、ちゃんと完成させたんやから」と勇気づけました。
航空機部品だけを製作する朝霧工業の社員は、ライバルの舞たちの前に現れると自信満々に挨拶をします。舞たち一行は工場の敷地に入ると、IWAKURAの10倍近くある広さや、工程ごとに別れる建物、機械の大きさに圧巻されます。
見惚れる舞たちに気を良くした社員は、工場見学を許しました。「熱処理まで御社でされているんですね」と舞が言うと、朝霧の社員は「弊社は材料調達から完成検査まで全て一貫生産できるようになっていますので」と自慢げです。
結城は「本気で航空機部品作るんやったら、これだけの規模がいるっちゅうことや」と呟きます。すると、「ライバル社の視察はどうですか?」と荒金(鶴見辰吾)が現れました。
舞は「凄いです。けど、本日は弊社も自身を持ってお見せできる製品をお持ちしました」と言い、荒金にみんなの思いがこもったボルトを渡します。自信満々の舞は「正々堂々、戦わせていただきます」と意気込むのでした。
【第83話】1月31日(火)放送
舞(福原遥)たちは、今回同じボルトの発注を受けている朝霧工業にて、試作品であるボルトの強度試験を受けていました。まずは細かい傷の有無を調べます。航空機エンジンに使うボルトは、その安全性からわずかな傷でさえ絶対に許されないのです。
IWAKURAが作ったボルトも、朝霧工業のものも、どちらも傷一つなく合格します。続いてボルトが切れるまで引っ張る試験です。その力を表す数値は「ニュートン」という単位が使われ、今回のボルトは、36500ニュートン以上の力に耐えられれば合格です。
朝霧工業のボルトは39000ニュートンを超えているということです。そしてIWAKURAのボルトも38000ニュートンを超えたところで切れたため、合格です。
これには朝霧工業の社員も「まさか!」と驚き、荒金(鶴見慎吾)は「ボルトの完成度は、朝霧さんとほぼ同格ですね」とつぶやきます。すると、朝霧工業の社員が「このボルトは本当に御社でお作りになったんですか?」と尋ねてきます。
結城(葵揚)は「もちろんやないですか!それか何かおっしゃりたいんですか?」と笑いながら答えます。ここで舞が「違うんです。これはうちだけの技術ではありません。圧造も転造も父の代からお付き合いしている東大阪の他の工場の機械をお借りしました。せやからこれは、東大阪の町工場の技術が結集したボルトなんです」と伝えます。
舞の話を聞いた朝霧の社員は「では、もし御社が本発注を受けることになった場合、その時も他社に協力を求めると?」と舞に問います。舞が「そのつもりです」と答えると「それは考えが少々甘い」と言われてしまいます。
その理由として「本発注はもっとたくさんのボルトやネジを作ることになる。必要な時間も費用もかなりのもんで、他社がメリットを感じるとは思えない」と話します。
この発言に荒金は「私は全くの夢物語ではないと思いますよ」と自身の意見を述べつつ「今日は素晴らしい製品をお持ち頂きありがとうございました。品質試験には更に日数がかかりますので、結果は後日ご報告致します」と舞たちに伝え、この日の試験は終了しました。
その後舞は「デラシネ」に寄ります。すると出版社である長山出版のリュー北條(川島潤哉)が訪れており、貴司(赤楚衛二)の宣材写真を撮影していました。そのため、舞は邪魔にならないよう気を遣い、本を読んでいた子供たちも連れて帰宅します。
リュー北條は「梅津さんの詩、東京の編集部でも本当に評判がいいよ。俺もね、詩の一つ一つが切実だなぁ、泣けるなぁって思うから全力で売り出していきたい」と貴司に伝えます。
その上で、貴司の姿を眺めつつ「まずは服装と髪型かな。今度、ちゃんとした場所で宣材写真を撮ろう。スタイリスト呼ぶから」と撮影をやり直すことを提案します。しかし貴司は「いや、僕の写真なんか載せんでも」とあまり乗り気になれません。
そんな貴司にリュー北條は真面目な表情で「歌集売りたいなら、作者の顔が大事よ。せっかくの男前なんだから」と答えるのでした。
一方で舞はカフェ「ノーサイド」に訪れると、久留美(山下美月)と父・佳晴(松尾諭)も来ていました。佳晴はスーツ姿で、オーナーの津田(たくませいこ)にネクタイを選んでもらっています。聞くところによると、明後日、八神(中川大輔)の家族と顔合わせだということです。
久留美は「せっかくの大事なイベントなのに、お父ちゃんはここ(ノーサイド)で顔合わせをやるって聞けへんねん。せっかく蓮太郎さんが、ええ料亭予約するって言ってくれたのに」と不満を漏らします。
そして、いよいよ望月家と八神家、両家の顔合わせの日がやってきました。久留美と佳晴が先に来て待っていると、八神の母・圭子(羽野晶紀)が1人で現れ「お初にお目にかかります。蓮太郎の母です」と2人に挨拶をします。圭子は笑顔一つなく、とても不愛想な様子です。
そんな圭子に佳晴は緊張した面持ちで丁寧に挨拶をすると、久留美は「お父様と蓮太郎さんは?」と圭子に尋ねます。しかし圭子は「今日はわたくし一人で参りました。単刀直入に申し上げますわね。蓮太郎とあなたの婚約はなかったことにして頂きます」と衝撃の一言を口にするのです。
久留美は驚いて「それってどういう意味でしょうか?」と聞き返しますが、圭子は「そのままの意味ですけど。お父様、あなた定職にはお就きになっていらっしゃいませんよね?離婚もなさってるそうですし。そのようなご家庭の女性とうちの息子を結婚させることはできひんのです」と答えます。
このことは八神本人も存じているということで、圭子は言いたいことだけ言ってそそくさと帰ろうとします。すると佳晴が突然土下座をし「お願いします。もういっぺん考え直したって下さい」と訴えます。
圭子は非常に迷惑そうにしますが、佳晴は「俺のことは俺のことです。久留美とはなんの関係もないんです」と一生懸命弁明しようとします。呆れ果てた圭子は「そもそも、こんな店で顔合わせなんて、非常識でしょう。聞いたら、あなたの提案と言うじゃないですか」と強い口調で佳晴を責めます。
佳晴は「娘の邪魔したくなかったんです。俺なんかが高い料亭行ったら、緊張して話もできへん。不細工な姿、見せるだけです。せやけど、ここやったら自然とラグビーの話ができる。俺にはラグビーしか取り柄があらへんのです。せやから、ここやったらカッコイイお父ちゃんでいてられると思って」と顔合わせの場所をカフェにこだわった理由を述べました。
そして「バカバカしい。なにがラグビーよ」と言い捨て帰ろうとする圭子に、佳晴はしがみついて「久留美はちゃんとした、良くできた娘なんです。どうかお願いします。娘には幸せになってもらいたいんです」と必死に訴え続けるのです。
そんな情けない佳晴の姿を見た久留美は「お父ちゃん、もうええ」と言いながら、圭子に「申し訳ありませんでした」と頭を下げると、圭子は店を出ていきます。その後、佳晴は床にひざまずきながら、泣き崩れるのでした。